「T4 KITCHEN」(スヴェンソンホールディングス提供)
「T4 KITCHEN」(スヴェンソンホールディングス提供)

◆まちづくり拠点 世代超えて交流

 三重県の桑名市総合医療センター理事長の竹田寛さんも、卓球の健康増進効果を強調する。

「卓球を続けることで、骨格筋量の低下をおさえつつ、体脂肪や内臓脂肪を減らすことができます。結果、血圧も正常値に近づき、心筋梗塞(こうそく)などの予防につながります。卓球は生活習慣病対策に有効なのです」

 こんな「いいことずくめ」の卓球を「まちづくり」に活用する自治体も出ている。

 桑名市は19年、まちづくり拠点となる施設に卓球台を設置し「卓球珈琲」をオープン。「ネスカフェ」ブランドでコーヒーを販売する「ネスレ日本」と提携してカフェコーナーを設置し、連携の医療機関によるヘルスチェックも実施。卓球交流で健康増進促進を行っている。

「高齢男性は、なかなか地域のコミュニティーに出てきづらい。男性はラジオ体操にすら出てこない。こういう場があることで、男性にとっても地域の人との交流の機会ができて、精神的にも肉体的にも良い効果が期待できると思う」(竹田さん)

 ネスレ日本の執行役員の嘉納未來さんも「『卓球とカフェ』が多世代が集い、つながり、楽しむ健康的なコミュニティーづくりのきっかけになると考えている」と話す。

「卓球珈琲」は、桑名市に続き名古屋にもオープン予定だ。「卓球カフェT4 NAGOYA」の名称で、名古屋の新しいシンボル「レイヤード久屋大通パーク」内に誕生する。商業施設の中で、ショッピングの合間に卓球が楽しめる。ますます人々の生活の中に卓球が入ってくることだろう。

「卓球珈琲」を桑名市に持ち掛けた朝日エルグループ会長の岡山慶子さんはこう力を込めて話す。

「卓球珈琲がまちづくりに寄与していると実感しています。気軽にスキマ時間にできる卓球は、多世代で交流しながらできるスポーツ。何よりやっていて明るい気持ちになります。超高齢社会の日本を元気にするのは卓球なのではないでしょうか」

 つながりたい誰かを誘って、さぁ、卓球をしに行こう。(本誌・大崎百紀)

週刊朝日  2021年11月19日号