コンテナ不足の影響は輸入品だけにとどまらない。日本からの輸出にも影を落としている。このところ、輸出が増えているのが日本酒。国税庁が公表する酒類の輸出金額の推移で、清酒は昨年241億円と11年連続で過去最高を更新した。

◆日本酒業者も「困っている」

 日本酒造組合中央会の担当者は「今年は8月に昨年の輸出金額を達成した」という。日本酒の輸出額は今年で12年連続の拡大となる。輸出先は中国、香港、米国など。この担当者は「輸出コストが上がり、業者が困っているという話をよく聞く」と話す。

 日本酒の輸出で最大なのが「獺祭」で、製造する旭酒造(山口県岩国市)によると、獺祭の輸出額は直近で69億円の過去最高となり、前年のおよそ2倍となった。コンテナ不足による輸送費の急騰は痛手という。

「輸送費込みで販売している場合や特に欧州圏では、値上げせざるをえなかったものもある。米国向けは欠品が発生し、船便でなく航空便で急いで届け、余分の輸送費を負担したこともあった」(旭酒造担当者)

 コンテナ不足による海上輸送費の上昇はいつまで続くのか。

「米国のクリスマス商戦までは荷動きが活発で、コンテナ不足や運賃の高止まりが続く。運賃が正常に向かうのは春節で中国の工場が休暇に入り、米国への輸出が少なくなる来年2月以降になる可能性が高い」(松田さん)

 日本の消費者にも、業者にも打撃となっているコンテナ不足。まだ収まりそうもない。(本誌・浅井秀樹)

週刊朝日  2021年11月5日号