コンテナ不足は来年2月以降まで続くとの見方も (c)朝日新聞社
コンテナ不足は来年2月以降まで続くとの見方も (c)朝日新聞社

 物流の現場で何が起こっているのだろうか。

「コロナ感染拡大後、コンテナで運ぶ貨物の需要が急回復し、コンテナ輸送が追い付かなくなった。米国では巣ごもり需要が発生し、慌てた業者が大量に商品を買い付け、輸送需要が急増している」

 こう話すのは拓殖大学商学部の松田琢磨教授。コンテナ貨物が急増しても、船に積めるコンテナに限りがあり、積み残しが発生しているという。

 いわゆる世界的なコンテナ不足と呼ばれる現象で、これが世界の海上輸送費の高騰を引き起こした。松田さんによると、昨年6、7月ごろ、コロナ禍の中国で生産の再開が進んだ後、上海発北米向けコンテナ運賃の急上昇が始まった。コンテナ不足は米国だけでなく、欧州やアジア、豪州などに広がっている。

 代表的な国際コンテナ運賃市況を見ると、ほぼ横ばいで推移していたのが、昨年6月くらいから急騰。今年10月は1年前に比べて3倍以上、5年前と比べると5倍以上に上昇している。

 コロナ禍の巣ごもりで「テレワーク需要やEコマース(ネット販売)利用が進んだ」(松田さん)ため。米国向けコンテナ貨物で多いのは、松田さんによると、家具や家財道具、服や靴などのアパレル製品、電化製品やおもちゃなど。テレワークで郊外へ移住する人が増え、旅行やイベントへ行けなくなり、Eコマースなどでの買い物にお金を使うようになったという。在宅時間が増えて、ガーデニングやDIYに費やす時間も増えたことが背景にある。

「米国の港湾ではコロナ禍で働いている人が少なくなっている。働きたくても普段どおり働けず、巣ごもり需要をさばき切れていない」(日本船主協会担当者)

 また、この担当者によると、米中摩擦でコンテナ数が減っているため、多くの製品を作る中国からの輸出もすぐには増やせないという。

 日本郵船など日本の海運会社のコンテナ輸送を扱うのがオーシャンネットワークエクスプレス(シンガポール)だ。日本拠点の担当者は「世界的に物流がスムーズに流れておらず、そこかしこで滞留が発生。稼働する船やコンテナ数が減るなか、需給バランスから運賃が高騰している」と話す。米国では鉄道網も非常に混雑しているという。トラック運転手の不足も深刻で、こうした悪循環からコンテナの回転が悪くなっている。

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