洞爺湖のほとりにある壮瞥町は、周囲に有珠山や昭和新山があり、豊かな自然や温泉が魅力だ。人口は2400人ほどだが、民間病院や救急センターを備える。

 2位は清川村(神奈川県)、3位草津町(群馬県)、4位平生町(山口県)、5位川場村(群馬県)など、自然豊かな地域が上位を占めた。

『本当の医療崩壊はこれからやってくる!』の著者で、元医師の本田宏さんはこう読み解く。

「面積が広く、人口の少ない自治体ほど、人口あたりの病床数は多くなりやすいのでは。逆に言えば、そうした市町村ほど、上位に入ってしかるべき。交通の便が悪く、病院から遠いところに住む住民が多くなりがちな自治体こそ、充実した医療体制が必要です」

 たしかに、人口の多い大都市は上位に名を連ねていない。例外的なのは東京23区から唯一、ランク入りした53位の千代田区。大きな病院が集中するためだ。

 地域の医療体制は周囲の複数の自治体で連携して整備するため、市区町村単独の病床が少ないからといって、必ずしも、その地域の“安心”が劣っているわけではない。

 さらに、ランキングに使った厚労省の資料は、新型コロナの感染拡大前、19年10月時点のデータだ。コロナ禍で状況が大きく変わっていることもあるだろう。とはいえ、万が一の備えは不可欠。新型コロナの収束後をみすえ、参考にしていただきたい。(本誌・浅井秀樹、池田正史)

週刊朝日  2021年7月9日号より抜粋

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池田正史

池田正史

主に身のまわりのお金の問題について取材しています。普段暮らしていてつい見過ごしがちな問題を見つけられるように勉強中です。その地方特有の経済や産業にも関心があります。1975年、茨城県生まれ。慶応大学卒。信託銀行退職後、環境や途上国支援の業界紙、週刊エコノミスト編集部、月刊ニュースがわかる編集室、週刊朝日編集部などを経て現職。

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