※写真はイメージです (GettyImages)
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 超高齢化社会に突入し、このまちで安心できるのか? そんな心配にこたえようと、本誌編集部は重要指標を独自集計し、「市区町村ランキング100」を試みた。

【ランキング表】自治体の財政力指数断トツの1位は?

前編/自治体のデジタル化トップは? マイナンバーカードは地方で普及か】より続く

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 住民サービスが充実するには、お金が重要だ。

 財政状況を示す指標の一つが「財政力指数」。数値が高いほど「自前の財源で行政を運営する力がある」と解釈できる。指数が「1」を上回れば、国の地方交付税交付金を受けずに済み、「不交付団体」と呼ばれる。

「人口が少なく、大企業の生産拠点があったり、地価が高かったりする自治体は固定資産税や法人住民税の税収が多く、財政も豊かなところが少なくありません」

 地方財政に詳しい成蹊大の浅羽隆史教授はこう解説する。

 財政力指数では、2.21と断トツだったのが飛島村(愛知県)だ。伊勢湾に臨み、村内には大型コンテナ船が停泊できる「国内最大規模」の埠頭(ふとう)を持つ。人口は約4800人と小規模ながら、火力発電所や大企業の拠点もあり、「日本一リッチな村」で知られる。

 コロナ禍の21年度は法人住民税が前年より3割ほど落ち込むが、一般会計の当初予算63億4千万円のうち、8割超を自主財源で賄う。

 村は長寿奉祝金として「満100歳に100万円」を支給する事業や、小中学校の進学時に10万円、18歳まで医療費無料など独自の手厚いサービスを続ける。新型コロナの感染拡大を受け、20年度は村外学生向けの給付金制度を創設。21年度も新たに、保護者の所得が一定水準に届かない成績優秀な大学生らに対し、月2万5千円の奨学金制度も設けた。

「財政力があれば、独自の取り組みも打ち出しやすい。市区町村が国に先駆けて新しいサービスに踏み出す例は少なくありません」(浅羽教授)

 例えば7位の武蔵野市(東京都)。今やあちこちで見る自治体運営の「コミュニティーバス」の“元祖”とされる。

 2位の六ケ所村(青森県)や3位の大町(福島県)、5位の泊村(北海道)はいずれも、原子力発電所や使用済み核燃料の再処理工場など原発関連の施設を抱える。

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池田正史

池田正史

主に身のまわりのお金の問題について取材しています。普段暮らしていてつい見過ごしがちな問題を見つけられるように勉強中です。その地方特有の経済や産業にも関心があります。1975年、茨城県生まれ。慶応大学卒。信託銀行退職後、環境や途上国支援の業界紙、週刊エコノミスト編集部、月刊ニュースがわかる編集室、週刊朝日編集部などを経て現職。

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