「ほかにもドラフト2位の伊藤将司投手はもちろん、同6位の中野拓夢までショートのレギュラーを獲っちゃいましたから、スカウトを褒めなきゃいけない。外国人も、ソフトバンクをクビになったスアレスは手術したから他球団が敬遠したわけですが、阪神フロントは大丈夫だと判断して獲って、この活躍。ハマってますよね」(スポーツ紙デスク)

 もっとも阪神に関して景気のいい話をしていると決まって取り上げられるのが、北京五輪が開催された2008年シーズンの戦いである。最大13ゲーム差あったペナントレースを引っくり返された歴史的大失速だ。

「あれがあるから、今は調子いいけど、ホントに大丈夫?となるわけです(笑)。ただ、当時の監督だった岡田(彰布)さんが、こうコボしていたのを思い出すんですよ。『新井がボロボロになって帰ってきたからな。あれが痛かった』」(前出ベテラン記者)

 その年、広島から移籍してきてカープ時代の先輩の金本選手と共に前半戦のチームを引っ張った新井貴浩選手のことだ。

「あの年、新井は五輪に行く前から腰に違和感があったんです。だけど、ああいう一生懸命な選手でしょ。北京五輪日本代表の4番としてガンガンやって悪化して、帰ってきて調べたら第5腰椎疲労骨折……。後半戦を棒に振ることになりました。当時の侍ジャパン監督だった星野さんが『阪神と阪神ファンに申し訳ない』と謝罪してましたけど、あれはホントに痛かった」(前出デスク)

 阪神にとってはくしくも、今季も五輪がある。それも、本当は去年開催されていたはずだったものがコロナ禍で延期となり、多くの国民が……無理だろ、今年も五輪はできないだろ……と思っていた中での開催となりそうなのだ。そんな微妙な空気感はプロ野球界も同じだったようで、実施されるかどうかわからなかった大会に、いざ出場、となった選手の調整の難しさは想像に難くない。つまり、いつも以上のストレスは必至で、出場アスリートの故障が懸念される。

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