また、「企業型」「個人型」ともに受給開始年齢も広がり、これまでの「60~70歳」が「60~75歳」に変わる。

 受給開始年齢でいえば、大企業を中心に加入者が900万人を超える「確定給付企業年金(DB)」は昨年、一足お先に65歳までだったのを70歳までに引き上げた。

 いずれも年齢が上へ“後ずれ”になることが共通している。とりわけ注目すべきは「公的年金」「確定拠出年金」ともに、受給開始年齢が「60~75歳」に統一されることだろう。どの年金を何歳からもらい始めるかの判断を受給者に委ねたのだ。「どうぞ60~75歳の間で自由にお選びください」というわけだ。

ライフスタイルが多様化するなか、これは選択肢の飛躍的な広がりを意味し、個人にとっては歓迎すべき改革だ。だが、逆に言えば「選択肢がありすぎて、どうしたらいいのかがわからない」ともなりかねない。年金が「パズル化」してしまう可能性があるのだ。(本誌・首藤由之)

週刊朝日  2021年6月25日号より抜粋

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首藤由之

首藤由之

ニュース週刊誌「AERA」編集委員。特定社会保険労務士、ファイナンシャル・プランナー(CFP🄬)。 リタイアメント・プランニングを中心に、年金など主に人生後半期のマネー関連の記事を執筆している。 著書に『「ねんきん定期便」活用法』『「貯まる人」「殖える人」が当たり前のようにやっている16のマネー 習慣』。

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