松本:信じてくれてたとは思いますよ。でも、花開くとは思ってなかったと思います(笑)。私のこの声や、このキャラクターって、女優っぽくもなく、たぶん女性ウケもそんなによくない。仕事をしていく上で、ナメられやすいタイプだということを、自分でもよくわかったんですよね。だけど私は演技が好きで、その気持ちを糧にずっとやってきたんです。たまたまデビュー18年目で、「ホリデイラブ」という作品に出会って、いきなり注目してもらえた。だから「絶対にこのチャンスをつかまなきゃいけない」と必死でした。

林:うん、うん。本当によかったですね、ブレークして。

松本:ただ「ホリデイラブ」以降もたくさんの出演作があったわけじゃなかったんです。だから、いただける仕事一つひとつに対して、もう必死でしたね。これで失敗したら元も子もないと思って、一生懸命やりました。

林:それが功を奏して、メディアの取材もこの1年ですごく増えて、週刊誌のグラビアにも出たし、酎ハイのCMも評判になったし、あの「情熱大陸」にまでお出になって。でも、「情熱大陸」を見てたら、何だか元気がなくて、大丈夫かなと思っちゃいましたよ。「私、こわれちゃう」とかおっしゃるから……。

松本:たぶん、この1年が私史上いちばん忙しい時期で、自分の許容範囲を超えた中でやってたんです。でも、テレビであんなことを言うのはよくないなと思ってすごく反省しました。

林:いやいや、すごく正直だなと思いましたよ。そういう部分に惹かれた人もいるんじゃないですか。

松本:私にとっては、特にこの半年間のスピードがすごく速くて、これまでと環境が激変したというか。今までずっと無名だったのが一気に認知されて、気づいたらみんなが私のことを知っていたという劇的な変化には、ちょっと驚きました。これまで20年ぐらいずっと無名で来たので、それはすごくうれしいことだし、求めていたことなんですけど、私、完璧にできない完璧主義者というか……。

林:どういうこと?

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