松本:20年間自分で研磨したりいろいろ頑張ってきて、完璧な状態でメディアに出たいという思いがあったんです。だけど、いま走ってる途中なので、未熟な状態の自分がメディアに出てしまっていることのコワさに、ちょっと戸惑いがあるのが今の正直な状態なんです。もっと言えば、私、「ホリデイラブ」に出るまで、有名になりたいとは思わなかったんです。

林:えっ、どうして?

松本:それよりも実力をつけること、人間力を磨くほうが大事だと思ってたんです。でも「ホリデイラブ」みたいな大きなチャンスの切符を手に入れることって、人生に一度あるかないか。だから、今までの自分からシフトチェンジして、有名になりたいと思ったんです。知名度を上げるというのは、今までの私の価値観と違うけど、ここで変わらないと私の人生は変わらないし、お仕事をもらわなきゃ自分の表現もできない。それで2020年のはじめに、「今年は徹底して、有名になろう」と思ったんです。

林:ほぉ~。それがかなったわけですね。

松本:自分の想像以上にたくさんのお仕事をいただけたし、メディアに出る機会が増えて、そこに戸惑いもありましたけど、ありがたいことにかないました。今年は自分と向き合って、一つひとつ丁寧に自分らしいお仕事をしていくことが必要かなと思っています。

林:真剣に向き合ってらっしゃるんですね。

(構成/本誌・松岡かすみ 編集協力/一木俊雄)

松本まりか(まつもと・まりか)/1984年、東京都生まれ。2000年にテレビドラマ「六番目の小夜子」で女優デビュー。テレビアニメ「蒼穹のファフナー」シリーズなど、声優歴も長い。18年放送のドラマ「ホリデイラブ」でブレーク。怪演ぶりが話題となり、バラエティーなどでも存在感を高める。現在放送中のドラマ、オトナの土ドラ「最高のオバハン 中島ハルコ」(フジテレビ系・毎週土曜23時40分~24時35分放送)に出演中。WOWOWオリジナルドラマ「向こうの果て」(5月14日~)で連続ドラマ初主演を務める。

週刊朝日  2021年5月7-14日号より抜粋