「0%は預金で2割ほどの方がいます。一方、10%以上の人も1割程度いらっしゃる。この状態が15年ほど続くと両者の差は“2倍”になります。例えば、同じ500万円を拠出していても、1千万円になっている同僚が社内にいるんです。どの金融機関の分布グラフも同じ傾向なので、日本中の会社で見られる現象でしょう」(同)

 なるほど、そういう話を聞くと、元本確保型ではなく投信のほうが展望がありそうだ。ただ、投信といっても、いろいろある。株式、債券、国内、海外……。DCの数十本の中から、何をどう選ぶか。

 資産運用に詳しいFPの深野康彦氏によると、次のような手順で考えてほしいという。

「まず自分の資産全体の中で、どれだけのお金投資に回しているかを見てください。そのお金が資産全体の過半を占めていれば“リスクのとりすぎ”ですが、2割程度にとどまっているのなら、もっとリスクをとっていいことになります。状況や年齢によって変わりますが、投資に回せるのは全体の4割程度が一つの目安になります」

 チェックした結果、DCでリスクをとっていいことがわかれば、長期にわたる積み立て投資なので「分散」を重視するべきだという。

「今は金利が低く、債券投資には利点がないことなどを考えると、株式ファンド1本でいいと思います。世界の株式全体に投資したのと同じ効果がある『インデックス投信』を選べばいいでしょう」(深野氏)

 先の加藤氏も、

「日本の会社員はリスクをとっている人が少ないので、DCは全額株式でかまわないと思います。価格が下がると多くの口数が買えるなど、積み立て投資での時間分散の効果も使えます」

 50歳を過ぎると、だんだん投資期間が限られてくるが、加藤氏は逆にDCを通して投資を学んでほしいという。

「長い老後を考えると、日本ではリタイア後も資産を運用し続けなければならなくなります。投信は株式や債券など、どの資産を選ぶかが“肝”。DCを通して投信の特徴などを知って、自分で商品が選べる力を身につけてください」

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