※写真はイメージです (GettyImages)
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(週刊朝日2021年4月23日号より)
(週刊朝日2021年4月23日号より)
(週刊朝日2021年4月23日号より)
(週刊朝日2021年4月23日号より)

 会社が出してくれるお金で退職金や年金を準備できる「確定拠出年金(企業型DC)」。昨年からの株価の上昇で大きく利益を出した会社員がいる一方で、長年ほったらかしのままの人も多い。毎月の掛け金は数万円だが、長期になると大きな差になる。後で“泣き”を見ない上手な活用法をご提供しよう。

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「上下で400万円動いた1年でした」

 自らの資産運用の状況をインターネットで公開しているnorikiart(ノリキアート)さんは、大手金融機関の社員。会社で加入している「確定拠出年金(企業型DC、以下DC)」で、資産評価額が大きく上下する“ジェットコースター現象”を味わったという。

 DCに加入したのは2005年。最初は会社の拠出金だけ、途中から自分も上乗せするようになり、今では毎月5万5千円を積み立てている。投資先の配分は「株式5割、不動産3割、債券2割」。資産は順調に積み上がり、昨年2月には評価額は約800万円になっていた。

 そこを新型コロナウイルスの感染拡大が襲った。相場は急落、日経平均株価は一時、1万6千円台にまで下がった。

「当然、DCも下がります。約640万円まで下がったことがありましたね。でも、それ以降は世界的に株価が一本調子で上がり続けました。DCも急回復し、今年2月に1千万円を超え、4月初めには1060万円までいきました。運用益は300万円を超えています」(norikiartさん)

 東京都内の流通会社に勤める女性(50)も、DCで大きな利益を上げている。こちらは07年からの加入で、掛け金は上乗せ分と合わせて月3万5千円。最初は意味もわからず、部下と同じ投資配分にしたままだった。約2年前に「ちゃんとしなきゃ」と見直し、投資先を外国株式に絞った。

「拠出金は約400万円ですが、評価額は550万円近くに膨らんでいます。この1年の運用利回りは18.57%でした」

 コロナ禍の“カネ余り”による世界的株高で、DCで利益を出す人が増えている。現在のDC加入者は約750万人。norikiartさんや女性のように、明確な投資方針に基づいていればいいが、「知らない間に増えていた」というケースや、ほったらかしのままの人も多い。

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首藤由之

首藤由之

ニュース週刊誌「AERA」編集委員。特定社会保険労務士、ファイナンシャル・プランナー(CFP🄬)。 リタイアメント・プランニングを中心に、年金など主に人生後半期のマネー関連の記事を執筆している。 著書に『「ねんきん定期便」活用法』『「貯まる人」「殖える人」が当たり前のようにやっている16のマネー 習慣』。

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