ワクチンの効果が高めに出る設定をしているのだが、80歳以上で1700人、70代は6400人、60代は2万人、50代は6万人、40代は20万人、30代は60万人、30歳未満は600万人に必要という結果となった。

 浜医師はこう指摘する。

「米国やブラジル、英国のような状況であればワクチンは有効だと思います。けれども、感染者も死亡者も桁違いに少ない日本の場合、すぐにワクチンを打つ必要があるのか。よく考えるべきです」

 遺伝子治療研究の懸念から、コロナワクチンに疑問を呈するのは、新潟大学名誉教授の岡田正彦医師だ。

 mRNAは、ウイルスの遺伝情報から抗体のたんぱく質をつくるのに重要な役割を果たす。

 岡田医師によると、mRNAはどこかの細胞に取り込まれると、コロナウイルスの遺伝情報に従って突起状のスパイクたんぱくがつくられる。これは人間の体にとって異物なため、免疫反応が起きて抗体ができ、予防効果を発揮する。

 しかし、mRNAは非常に壊れやすい物質で、人間の体内に入ると最短で3分、最大で10時間ほどで分解してしまい、抗体をつくる暇などなくなるという。岡田医師が説明する。

「このため、すぐに壊れないようにmRNAを改造したのです。どのような仕掛けをしたのかは、開示されていないのでわかりません。さらにmRNAを脂肪膜などでくるみ、血液中を安定して運ばれるようにしています」

 岡田医師が心配するのは、改造されたmRNAがいつまでも分解されずに細胞内に残り続ける可能性があることだ。

「抗原であるスパイクたんぱくが延々とつくられることになるので、体内で炎症やアレルギー反応がずっと続くような状態になりかねない。それが人間の体にどのような影響を与えるのか、まったく未知の領域なのです」

 アストラゼネカのウイルスベクターワクチンは、コロナの遺伝情報を無毒なウイルスに忍び込ませて、ベクター(運び屋)にする仕組みだ。こちらはDNAなので、人間の遺伝子にそのまま組み込まれ、スパイクたんぱくをつくる情報が挿入される。このため、永久に残る恐れがあり、mRNAより不安は大きいという。

「米サイエンス誌の論文に、イヌの肝臓を使ってDNAを挿入する実験が掲載されました。見事にDNAの挿入に成功しましたが、すぐそばに発がんを促進する遺伝子があったのです。一歩間違えれば、発がんしていたかもしれない。人間の体内でも同じことが起き得るのです」(岡田医師)

 長期的な「害」については、誰にもわからないのである。(本誌・亀井洋志)

週刊朝日  2021年3月19日号