まず、地震や風水害、火災等の災害によって住宅や財産が損害を受けた場合、その被害の程度に応じて保険料の減免が受けられる。また生活困窮者を対象とした軽減制度が用意されており、要件に該当すれば保険料が年間数千~1万5千円(自治体により異なる)ほど軽減される。さらに昨年から、新型コロナの影響により収入が減少した人を対象とした減免制度も全国で始まったので、心当たりがある人は自治体に問い合わせてほしい。

 ただ、こうした軽減制度は、生活実態に即した制度設計になっているとは言い難い側面もある。兵庫県議会議員で、宝塚市を中心に生活困窮者の支援活動に取り組んできた練木恵子さんは、「軽減制度を利用する上で、世帯収入が大きな障壁となる場合がある」と話す。

「国保も同じですが、介護保険料は世帯収入によって算定されます。高齢者本人の収入が著しく低くても、同一世帯の妻や子の収入が合算されることで、軽減制度を受けられないこともあるのです」

 妻や子に十分な収入があれば問題ないが、「相談に来られる方の多くは、“一人ひとりが貧困状態”にあり、家族の保険料まで支払う余裕はない」と練木さんは言う。その場合、世帯分離によって家計を分けることで制度を利用できることもあるそうだ。

「日本の福祉は申請主義。せっかく軽減制度があっても、貧困家庭ほど存在を知らなかったり、利用を拒んだりする現状がある。こうした情報格差を解消していかなければ、支援を行き届かせることはできません」(練木さん)

 今後、アウトリーチの強化が、滞納者を減らす鍵になりそうだ。(ライター・澤田憲)

週刊朝日  2021年2月19日号