そもそも介護保険料の支払い方法には、給与や年金から天引きされる「特別徴収」と、納付書や口座振替で支払う「普通徴収」の二つがある。このうち普通徴収の対象となる(つまり保険料の滞納リスクがある)のは、年金受給額が年18万円未満の低年金の高齢者だ。

 一方、経済的に苦しくなくても、介護保険料を滞納してしまう人も意外と多いという。都内でも高齢化率が高い足立区の介護保険課課長を務める小口信一さんは、「65歳になって、一時的に普通徴収になったことに気付かず、保険料を滞納してしまうケースが少なくない」と指摘する。

 じつは特別徴収の対象者であっても、即座に保険料が年金から天引きされるわけではない。年金機構の事務手続きに半年から1年ほど時間を要するため、その間は納付書で保険料を納める必要がある。また、引っ越しなどにより居住地の自治体が変更となった場合なども、一時的に普通徴収となるため注意が必要だ。

 では、介護保険料を滞納した場合、どんな処分を受けることになるのか。

「介護サービスを利用した際には、滞納した日数に応じて、給付制限などの措置が取られる場合があり、一時的に介護サービスの利用料を全額支払わなければならなくなったり、自己負担割合が3~4割に引き上げられたりします」(小口さん)

 給付制限は3段階あり、未納期間の長さによって制限内容が変わる。これ以外にも、自治体からの催告を無視して納付に応じないと、財産の差し押さえ等の滞納処分を受ける場合がある。

「ただし滞納処分を実施するのは、調査を行ったうえで、十分な収入や預貯金があると判断した方に限ります。やむを得ない事情があったり、生活が苦しくて保険料が納められない方には分納相談や軽減制度の利用を案内しており、すぐに財産を差し押さえることはありません」(同)

 では、どんな場合に軽減制度が使えるのか。

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