──今の社会には閉塞感があります。芸能界で感じることはありますか。

 テレビに出ていて、これをしたらクレームが来るかな、ここまでは大丈夫かって、様子を見ながらやっていくのは変わらない。でも、視聴率全体が落ちている今、ネットの声をスポンサーが割と気にするようになってきていて、その意味で、今まで以上に発言を意識しないといけないのかなと。まあ、それができないから失言が多いわけだけど(笑)。ただ、ステイホームが続いて、視聴率が多少上がってきているのは確かで、サンジャポもそうです。でもそれは素直には喜べないよね。

──一方で、太田さんは文芸活動にも積極的です。

 元々本も好きだし小説も書きたいなっていうのはあったけど、書くことは苦ですよ(笑)。それはネタ作りも同じ。この年末年始も、とにかく漫才の機会が多いから、連日、田中が家に来てネタ作り。憂鬱だけどしょうがないよね、それが仕事だから。

──正月の浅草演芸ホールでの漫才は無観客となりました。

 例年なら正月気分でお客さんがウキウキしていて、何やってもウケて、一年の中で一番盛り上がるんだよね。客のいない客席に向かっての漫才は、呼吸がつかめなくて本当にやりにくくて、ベテランがぼろぼろになるとか、芸人殺し。つくづく寂しいなと思ったね。こうなってみて本当にお客さんのありがたみがわかりました。早く普通に戻ってほしいし、2月くらいになれば見えてくるんじゃないかって希望的には思っているけどね。

(構成/本誌・秦正理)

週刊朝日  2021年1月22日号より抜粋

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秦正理

秦正理

ニュース週刊誌「AERA」記者。増刊「甲子園」の編集を週刊朝日時代から長年担当中。高校野球、バスケットボール、五輪など、スポーツを中心に増刊の編集にも携わっています。

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