森下:YouTubeでお師匠と講談の時代が来るのを待つか、取りにいくかっていう議論をされてたんですけど。まさに、取りにいかれたんだなと。

伯山:でも私がいい講談師かどうかは別として、講談で若くて生きのいいやつ出てきたらいいなっていうのは、何となくみなさんの潜在意識であったと思います。

山藤:あったね。春風亭小朝が出現したときの落語界みたいなものだ。

伯山:ありましたよね?

山藤:うん。僕は、テレビメディアの人間ではないけど、客席の一人として、隙間がある。メディアが欲しがるね……ところで、そんなに好きだったのに談志の弟子になりたいとは思わなかったの?

伯山:すぐに破門だったと思います(笑)。僕、『談志百選』(立川談志著、山藤章二画)が大好きなんですけど、先生の絵があったからこそ、あれは談志の文章だけより何倍も面白い本だと思うんです。それ以外ですと、政治家をたくさん描いていて、楽しそうです。特に田中角栄。

山藤:好きでしたね。大学出てないから、学閥がない。仲間もいない。上から引っ張り上げてくれる人がいないわけです。だから、角栄一門は手づくりで自分の票を獲得していく。

伯山:どうですか、今の政治家は。

山藤:閣僚の顔を見ても、面白い顔いないですね。昔は、いかにも社会党らしい顔があったけど……。

伯山:ないですか、今は。

山藤:うん。それこそ、三菱商事の営業ですっていう感じで。

伯山:二階俊博なんていい顔してるんじゃないですか。悪そうな。

山藤:二階さんは面白い。

伯山:政治思想のいい悪いじゃなくて、自民党のほうが、「濃い」ですよね。

山藤:広い所で放牧している感じがありますでしょう? いろんな牛や羊がいていいんだって感じがあって。

伯山:悪いこともいっぱいしてるんだなっていうのが顔から伝わってきますね。そういうのも面白い。

山藤:NHKの「プロフェッショナル」っていう番組ありますよね。

伯山:あります。「仕事の流儀」。

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