ただ、それだけではチーム間の差は埋まらない。前述したとおり、チーム内の競争の質を上げること、そしてリーグ全体の底上げである。今年、巨人に対抗できたセ・リーグのチームはどれだけあっただろうか。もし、小手先で投打に圧倒できてしまう相手ばかりなら、これは選手個々のスキルアップにならない。

 巨人の主砲・岡本は4試合で13打数1安打の打率0割7分7厘に終わった。彼は何を感じ取っただろうか。質の高い球が甘く入ってきた時に一発で仕留める力、それを強く振っても確率を下げないためには、何が必要か。準備は今から始まる。ソフトバンクと対戦した去年と今年の戦いで感じた差を埋める戦いである。

 二つのリーグの差がこのまま続けば、野球人気そのものにも影響を及ぼすかもしれない。それだけショッキングな日本シリーズだった。あと2カ月あまりで来春のキャンプを迎える。体の疲れを抜くことは何より重要だが、頭の中では選手個々がレベルアップの策を練ってもらいたい。

東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝

週刊朝日  2020年12月11日号

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東尾修

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東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝。

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