浅野:終わって楽屋に来られた方に感想を聞いたりもできないですしね。僕ら出演者もスタッフも、万全な感染対策をしてますが、万が一誰か感染者が出たらそこでストップしなければならないので、そこはほんとにみんな気をつけてます。自分を律するしかないです。

林:自粛のときは韓流ドラマにハマったとおっしゃってましたが、ネットフリックスに入って「愛の不時着」とかごらんになってたんですか。

浅野:はい、「愛の不時着」から始まって「梨泰院クラス」、そして最近見終わったのが「恋のスケッチ~応答せよ1988~」。こ~れがおもしろかったんですよ。

林:へぇ~、それは私、見てないです。

浅野:笑いあり、涙ありの家族愛と友情と恋のお話なんです。ほんとにいいドラマでした。42話あって……。

林:それ、全部ごらんになったんですか。

浅野:1話40分ぐらいなんで、わりとさらっと見られるんですけど、とにかく俳優さんがうまい。コメディーって相当の技量がないと難しいんですよね。それでいて泣かせる。セリフが洒落てるんですよ。日本のドラマはセリフをわりとストレートに伝えていくんですけど、韓流は西洋のドラマと似ていて、言葉を置き換えるというか、たとえ話をするんですよね。それが洒落てて、あれは聖書から来てるんじゃないかなと思うんです。

林:なるほど。浅野さんは、いろんな演劇人から「いちばん頼りにできるのは浅野さんだ」と言って尊敬されている俳優さんとも聞きました。

浅野:いやいや、そんなことないです。

※【井上ひさしさんの舞台で疲弊…名脇役・浅野和之を襲った“後遺症”とは?】へ続く

浅野和之(あさの・かずゆき)/1954年、東京都生まれ。安部公房スタジオを経て、87年、野田秀樹主宰の劇団「夢の遊眠社」入団。同劇団解散後、小劇場から商業演劇まで多くの舞台作品に出演。映像にも活躍の場を広げ、バイプレーヤーとして注目の存在となる。三谷幸喜作品には、舞台「12人の優しい日本人」をはじめ多数出演。2006年、11年に読売演劇大賞最優秀男優賞。最新舞台「23階の笑い」(作:ニール・サイモン、演出:三谷幸喜、世田谷パブリックシアター)は12月5~27日上演。

(構成/本誌・松岡かすみ 編集協力/一木俊雄)

週刊朝日  2020年12月4日号より抜粋