岸田文雄元外相(C)朝日新聞社
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古賀誠元衆院議員(C)朝日新聞社
古賀誠元衆院議員(C)朝日新聞社

 自民党総裁選で敗れた岸田文雄元外相が、必死に巻き返しを図っている。

【写真】岸田氏が恐れる大物政治家はこの人

 麻生太郎財務相率いる麻生派(志公会、54人)と谷垣禎一元総裁の谷垣グループ(有隣会、20人余)に岸田派(宏池会、47人)との合流を持ちかけ、「大宏池会構想」の実現を目指しているのだ。

 この3派閥は池田勇人元首相が立ち上げた「宏池会」が源流。合流が実現すれば120人余りの塊ができ、最大派閥の細田派(清和会、98人)を上回る。政治ジャーナリストの角谷浩一氏が語る。

「最大派閥になれば麻生さんの発言力も増すし、谷垣グループはポストが獲得できる。両派にメリットがあるんです。もちろん岸田さんにとっては、来年9月の総裁選で有利に働きます」

 だが、事は思惑通りには進まなさそうだ。

「毎週開かれる岸田派の会合で派閥名誉会長の古賀誠元幹事長がどっかり真ん中に座るため、それが嫌だという人たちがいます。議員を引退した古賀さんがずっと牛耳っていることに不満の声が上がっている」(角谷氏)

 古賀氏は麻生氏や谷垣グループ幹部の川崎二郎元厚労相と距離があるという。このため、岸田氏は合流のネックになっていた古賀氏に「距離をとりたい」と伝え、古賀氏は名誉会長の辞意を示したという。

「岸田さんにしてみれば、先の総裁選で古賀さんの地元の福岡県の地方票が菅さん2票、石破さん1票で、自身はゼロだった。これにも不満をつのらせたようです」(永田町関係者)

 これで合流に向けて話が進むかと思いきや、この件が、岸田氏の「命取り」になりかねないという見方もある。

「古賀さんは傘下の議員に毎年モチ代を配って面倒をみているから、古賀さんが派を離脱するなら自分も一緒に離脱するという人たちもいる。岸田派47人のうち18人ぐらいは古賀派とも言われています」(政界関係者)

 菅義偉首相が過去に宏池会に所属していたことも、話を複雑にしている。

「菅さんは当時、古賀さんの子分。菅さんはその後、宏池会を飛び出て一匹狼になりましたが、古賀さんとの親しい関係は今も続いています」(永田町関係者)

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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