菅義偉首相 (c)朝日新聞社
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スガノミクスで業績が上がる会社20 (週刊朝日2020年10月23日号より)
スガノミクスで業績が上がる会社20 (週刊朝日2020年10月23日号より)
スガノミクスで業績が下がる会社20 (週刊朝日2020年10月23日号より)
スガノミクスで業績が下がる会社20 (週刊朝日2020年10月23日号より)

 菅義偉政権の誕生を機に、社会にさまざまな変化が予想される。携帯料金値下げに象徴される「スガノミクス」が社会にどんな変化をもたらすかも未知数だ。AIによる分析で、不確かな時代に生き残る会社を探った。

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「顧客からの問い合わせは増え、『東京ドームシティ』内の施設や店舗で使えるクーポン券の利用も伸びています。クーポン券の利用者を対象にしたお得な割引商品も用意しました。年末年始にかけて利用件数はさらに増えていくと考えています」

 こう話すのは、ホテルのほか、野球場や遊園地を運営する東京ドームの広報担当者だ。

 10月1日から、いよいよ東京も加わった「Go Toトラベル」キャンペーン。コロナで観光客が減り、業績悪化に悩む宿泊業者にとって政府の救済策に寄せる期待は大きい。

 新政権にとって、目下の優先課題はコロナ対策だ。前政権から引き継いだGo Toトラベルもその一環。外国人訪日客を呼び込むなど観光振興策に取り組んできた菅義偉首相にとっても思い入れがあるものの一つだ。

 菅氏の経済対策「スガノミクス」で日本の経済、企業はどうなるか。

 ゼノデータ・ラボ(以下、ゼノ社)のAIがはじき出したスガノミクスで業績が上がるランキング上位には、1位のホテル、ニューグランドをはじめ、ホテル事業を手がける会社が多く入った。Go Toトラベルで利用者が増えると見込まれるためだ。

 Go Toトラベルは、宿泊料金や交通費などの旅行代金の半額を国が補助する制度で、7月22日にスタート。10月1日からは東京でも利用できるようになった。国が補助する分のうち、7割は旅行代金が割引され、3割は旅行先で買い物や食事に使えるクーポン券がもらえる。

「まだ東京都の発着分も加わったばかりで本格的な追い風とまでは言えませんが、土日のレジャー客を中心にホテル稼働率は上がっています」(4位の帝国ホテル)

 恩恵が及ぶのは、ホテルだけではない。9位に入った航空券予約サイトのエアトリは、東京発着分の予約受付が始まった9月18日にサイトの利用者が前の週に比べて1.5倍に、10月1日にはさらにその2~3倍へ急増したという。取締役の王伸さんはこう言う。

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池田正史

池田正史

主に身のまわりのお金の問題について取材しています。普段暮らしていてつい見過ごしがちな問題を見つけられるように勉強中です。その地方特有の経済や産業にも関心があります。1975年、茨城県生まれ。慶応大学卒。信託銀行退職後、環境や途上国支援の業界紙、週刊エコノミスト編集部、月刊ニュースがわかる編集室、週刊朝日編集部などを経て現職。

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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