そのランニングフォームがめっちゃいい。大阪国際女子マラソンかってくらいめっちゃいい。めっちゃいいフォームのまま、男の妻子を殺害。

 公園に「トルコ行進曲」が鳴り響く中、女は「ナムアミー(南無阿弥)!」(「どんだけー」のイントネーションで)と叫び、自らの首をかっ切る。

 その場のメインキャラ全員に降りかかる血しぶきブシャーッ。この血しぶきの粒子が細かいのがいい。やっぱりヒロインの顔を点々と微細に彩ってこその血しぶきだ。

 さらに詩弦の彼氏を寝とる幼なじみ・桃香(片山友希)はこれでもかと憎々しく、浮気彼氏・勇介(佐藤大樹)は脳みそツルッツル。

 恐怖新聞配達人・鬼形礼(原作漫画の主人公)役の坂口涼太郎の顔面はリアルつのだじろうなホラー作画。と、笑いとホラーの配分も絶妙だ。

 ちなみに恐怖新聞はわら半紙に刷られているらしい。久々にテレビで聞いた、わら半紙という単語。でも恐怖新聞はこれからもそうであってほしい。LINEとかメールじゃなくてわら半紙。

カトリーヌあやこ/漫画家&TVウォッチャー。「週刊ザテレビジョン」でイラストコラム「すちゃらかTV!」を連載中。著書にフィギュアスケートルポ漫画「フィギュアおばかさん」(新書館)など

週刊朝日  2020年10月9日号

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カトリーヌあやこ/漫画家&TVウォッチャー。「週刊ザテレビジョン」でイラストコラム「すちゃらかTV!」を連載中。著書にフィギュアスケートルポ漫画「フィギュアおばかさん」(新書館)など。

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