「パフェと違ってアイスなら、店内で飲食しなくても購入して自宅や外で食べられるわけですから。しかも取り寄せにも利用できます。見た目もおもしろいアイデア商品だと思います」(同前)

 5年連続で「ミシュランガイド」に「ビブグルマン」として掲載され、行列のできる人気店として有名な麺屋猪一も、「和牛肉汁つけそば」の通販を開始した。同店を運営するエスエフピーダイナースの秋元純常務が説明する。

「コロナによって新しい時代になったと思います。お店に食べに来ることのできない方々に、少しでも自分たちのラーメンを届けたいという気持ちで始めました。商品開発の部分では、家庭のキッチンで、できるだけ簡単にお店そのままの味になるようにするのに苦労しました」

 京都人でもなかなか食べられなかった味が、全国で楽しめるようになったわけだ。利用しない手はない。

 京都在住のライターで、『京都とっておきのお取り寄せカタログ』の編集も担当した小西尋子さんは、飲食業界と消費者の間に絆のような親近感が生まれてきているように感じているという。

 もともと京都では、東京など他の大都市と比べて、生産者・飲食業と消費者との距離は近いといえるだろう。漬物ひとつ取ってみても、近くのスーパーでメーカーによる大量生産品を何の気なしに買うわけではない。

「京都の人の中には、漬物について『うちはずっと○○で買ってる』『うちの味は××』と、食べ比べたうえで決めている方も多くいます。もっとこだわる人は『しば漬けは○○で買い、千枚漬けは××で買う』というひいきの店を持っていますよね」(小西さん)

 そんな京都人のこだわりが育てた味。この秋は自宅で味わいたい。(本誌・菊地武顕)

週刊朝日  2020年9月25日号より抜粋