左から「鯖寿司」「すっぽん味噌」
左から「鯖寿司」「すっぽん味噌」
ご飯のとも・料理・酒も肴も充実の20選【1/2】 (週刊朝日2020年9月25日号より)
ご飯のとも・料理・酒も肴も充実の20選【1/2】 (週刊朝日2020年9月25日号より)
ご飯のとも・料理・酒も肴も充実の20選【2/2】 (週刊朝日2020年9月25日号より)
ご飯のとも・料理・酒も肴も充実の20選【2/2】 (週刊朝日2020年9月25日号より)

 コロナ禍のもと、京都の飲食業者の多くは、通販の比重を高めている。そのために、わざわざ商品開発をしている業者もあるほどだ。

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 その背景にあるのは、観光客の激減。京都のタウン誌「Leaf」編集部の加藤純子さんは、現状をこう語る。

「先日、嵐山に行ったらとても空いていて、ベンチに座れたんです。嵐山で座るなんて、何十年ぶりでしょう。渡月橋を見ながら、『なるほどいいとこだなあ』と写真を撮ってしまいました(笑)。竹林の小径は薄暗く感じ、小学生のころは怖く感じていたなあと懐かしがったり。観光客がいないので、地元の人たちは普段行かない名所を訪ねることが多くなりましたね。同じように、朝から晩まで観光客で行列ができていたお店も、ずいぶんと入りやすくなりました」

 飲食業者がテイクアウトや取り寄せに力を注ぐ理由は、客数が減り収益が落ちたことだけではない。少しでも多くの人が自分たちの商品を食べることで、明るい気持ちになればという願望も込められている。

「祇園にある日本料理店の祇園末友が、『こんなときでも、おいしいものを食べて元気で過ごしてほしい』と、手軽な冷凍うどんを開発して取り寄せサービスを始めたんです。これには驚きました」(加藤さん)

 祇園末友は、建仁寺の南門前に立つ数寄屋造りの一軒家で、懐石料理を出す。夜の料理は2万円からだ。そんな高級店が取り寄せ用に開発したうどんは、きざみきつね、カレー、豚と玉ねぎ、牛とごぼうの4種類。

「どれも800円なんです! パッケージを開けて鍋に入れて温めるだけ。手延べうどんはツルツルモチモチしていますし、出汁の香りとコクは、さすがと感じさせられました。これを逃すのは絶対損です」(同前)

 四条大橋そばなどに、抹茶を使ったパフェで評判の茶房を展開する伊藤久右衛門も、今夏に抹茶パフェアイスバーを開発。これはパフェを再現したアイスバーで、抹茶アイスの上に、フルーツや粒餡などをトッピングしたもの。全部で5種類を販売している。

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