斎藤先生は心配性になる理由を九つあげています。(1)やるべきことを完璧にできたか不安になる(2)つい、悪いことが起きたらどうしようと考える(3)実体がわからないと知識がない分、不安になる(4)ミスが不安を呼び、心配の泥沼化に(5)過去の失敗がトラウマになり、心配だらけに!(6)自分の能力に自信がなく、心配の深みにはまる(7)他人の目が気になって、つねに心配性に(8)他人のせいにして将来を悲観する(9)過去の苦い体験にとらわれて心配性に。

 どれか当てはまるものがあるでしょうか。心配性の人に、貝原益軒の次の言葉を贈りたいと思います。

「過(あやまち)あらば一たびはわが身をせめて二度悔(くやま)ず、只天命をやすんじてうれへず、是心気をやしなふ道なり。養生の士、かくのごとくなるべし」(『養生訓』巻第二の26)

 何事も天命と考えて、これを受け入れる。全部はそうできなくても、このことを心得ているだけで、ずいぶん楽になるのではないでしょうか。

帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など著書多数。本誌連載をまとめた「ボケないヒント」(祥伝社黄金文庫)が発売中

週刊朝日  2020年9月11日号

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帯津良一

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帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など著書多数。本誌連載をまとめた「ボケないヒント」(祥伝社黄金文庫)が発売中

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