菅官房長官 (c)朝日新聞社
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吉村洋文大阪府知事をめぐる政界相関図 (週刊朝日2020年8月7日号より 写真=(c)朝日新聞社)
吉村洋文大阪府知事をめぐる政界相関図 (週刊朝日2020年8月7日号より 写真=(c)朝日新聞社)

 コロナ対策と同時進行で、橋下徹氏がかつて挫折した大阪都構想の準備も着々と進んでいる。

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 今年11月1日に予定される大阪都構想の住民投票では、前回反対した自民と公明は賛成に回る見通しだ。

自民党の大阪府連、二階(俊博)幹事長はこれまで頑なに維新の都構想を否定し、対立してきました。しかし、維新は大阪では無敵。菅(義偉)官房長官の説得もあり、今回は自民、公明が折れた。閣僚ポストを維新に約束すれば、連立に乗ってくるだろう」(自民党幹部)

 ただ、連立がまとまるまでには、越えなければならないハードルも残されている。まずは次の解散総選挙での選挙区調整だ。

 吉村洋文大阪府知事は自民・公明との選挙協力を否定しているが、過去の選挙では維新と公明は選挙区調整をしたこともある。17年10月の衆院選では、大阪都構想の住民投票実施に賛成することと引き換えに、維新は関西の6選挙区で公明党に対抗馬を立てなかった。次の総選挙でどのような選挙協力をするかが連立入りの試金石となる。維新の国会議員がこう言う。

「自民、公明との連立に対しては慎重な意見も多い。だが、幹部は閣僚ポストを割り振ってもらって与党になることは頭の中に入れている。大阪都構想が実現したら初代知事は吉村さんに任せて、松井(一郎)さんが国政に出るかもしれない」

 自・公・維の連立構想は、安倍晋三首相の後継者選びにも影響を与えている。『小池百合子の大義と共感』の著者大下英治氏がこう話す。

「名前が挙がっている次の首相候補をタイプで分けると、平時の岸田文雄(政調会長)、乱世の石破茂(元幹事長)、大乱世の菅義偉。今のコロナ状況は、およそ平時ではない。安倍首相は3人の中では支持率が最も高い石破さんだけは後継にしたくないと考えている。大乱世の今、維新と公明の両方とつながりのある菅さんが浮上してくる。菅さんが吉村さんとの蜜月をアピールするのも、選挙後の政権の枠組みを考えての行動とも読める。ポスト安倍のキーマンである二階さんも、官房長官を務めてきた菅さんのしたたかな手腕を十二分に認めている。ポスト安倍の最有力に躍り出た」

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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