しかし、このシナリオは絵に描いた餅になる可能性もある。

 安倍首相が憲法改正を争点の一つに掲げた19年の参院選では、公明は比例代表の得票数が約654万票で、前回から約104万票減らした。安倍首相が維新と進めようとする憲法改正は、公明の支持母体である創価学会に評判がよくない。憲法改正を次の衆院選の争点にすることに、公明党幹部は警戒心を隠さない。

「憲法改正の発議をするのは国会で、最後は国民投票で決めるのがルール。衆院選の争点で憲法改正を掲げて選挙するというのは、憲法改正の道筋として間違っているし、国民投票の形骸化につながる」

 だが、日本維新の会の馬場伸幸幹事長はこう話す。

「公明とはこれまでいろいろあり、吉村さんは以前、『公明党をぶっこわーす』と言っていたが、今では維新と公明は超大人の関係です」

(本誌・西岡千史、上田耕司/今西憲之)

週刊朝日  2020年8月7日号

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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