林:若い女性が自分でつくって歌うという路線をユーミンがつくって、渡辺さんとか中島さんがそれを継承したわけですね。あとあの人も、「みずいろの雨」を歌った……。

渡辺:八神純子さん。

林:そう。女性は皆さんピアノで作曲なさってたでしょ。おうちにピアノがあって、ピアノを自由自在に弾きこなせる子って、当時はわりと限られてたから、人数が少なかったような気がする。

渡辺:私、最初はシンガー・ソングライターでやっていこうとは思っていなくて、たとえば弘田三枝子さんの「人形の家」を歌ってみると、自分の声が子どもなので、今の自分の声用の歌をプロの方に書いていただくのは無理だなと思ってたんです。そのうちヤマハポピュラーソングコンテストを見て、そうか、自分でつくるという手もあったんだと思って。

林:トシちゃん、聖子ちゃんとかのアイドルグループの前ですか。

渡辺:私のちょっとあとです。原田真二さん、ツイスト、さとう宗幸さんが同期。サザンもそうですね。アイドルでは石野真子さんが同期。

林:すごい時代ですね。でも、そのあとバンドブームが来て……。

渡辺:ニーズがなくなりましたね。世の中はバンドブーム、フュージョンの流れで。

林:渡辺さん、30代になってからアメリカのアリゾナへ語学留学も兼ねた充電の旅に行ってたじゃないですか。あのとき、おみくじで導かれたって本当?

渡辺:本当です。雑誌の取材で四国に行って、マネジャーもついていって、お遍路さんが行くところをたどっていきながら、お寺に寄ってはおみくじを引いてたんですけど、二人とも凶、もう一ぺん引き直しても凶。次のところに行っても凶、凶。

林:まあ!

渡辺:それでシーンとなっちゃって、翌年の年明け、私が鶴岡八幡宮で引いたらまた凶。マネジャーも東郷神社で引いたら凶。計、8枚連続で凶。こりゃダメだ、神様が発想の転換をするように教えてくれてる、じゃあ離れようと思って、私は半年アメリカに行ったんです。ちょうどバンドブームが来てたこともあって、かなりスケジュールが空いてたし。

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