林:広いところで聴くと気持ちいいだろうなと思いますよ。みんな立ち上がって歌って、スポーツ界に広めたいなという曲でした。
渡辺:ああ、うれしいです。これで今年オリンピックがあれば最高だったんですけどね。
■ 「かもめが翔んだ日」はその場でメロディーをつくった
林:渡辺さんは「迷い道」でデビューなさったんですよね。すごく新しい歌だったと思いますよ。メロディーも歌詞も。
渡辺:うれしいです。
林:そのデビュー曲の「迷い道」が大ヒットして、2作目が「かもめが翔んだ日」でしたよね?
渡辺:そうです。伊藤アキラさんに詞を書いていただいて、「2作目でもうプロの方に詞を書いていただけるんですか?」みたいな感じですごくうれしくて、詞をいただいたその場でメロディーをつけちゃったんですよ。興奮して。
林:えっ、メロディーをその場でつくっちゃったんですか?
渡辺:はい、15分から20分ぐらいで。
林:「♪ハーバーライトが朝日に変わる そのとき一羽の かもめ~が~翔~ん~だァ……」という歌い出しが、すごく新しかったですよ。最初にサビをバーンとぶつけて、風景がパーッと広がってきて。
渡辺:その最初の2行は、はじめはなかったんですけど、ディレクターさんが「頭にいいシチュエーションがほしいな。それがあると、失恋ドラマの幕開きになるような」と言って、伊藤さんにもうひと踏ん張りして新しい詞を2行書いていただき、それにすぐ曲をつけてメロディーを聴いていただいたんです。「これで歌ってみて」と言われて、「♪ハーバーライトが……」「もっと翔んで!ほれ翔べ!」「♪かもめ~が~翔~ん~だァ~」「はいオーケー。譜面にして」。あっという間でした。
林:すごいなあ。あのころ、若い女性が自分で曲をつくって歌うなんて、渡辺さんと中島みゆきさんと……。
渡辺:ユーミンさんも。
林:あ、ユーミンがいた! ユーミンとどっちが早いんですか。
渡辺:ユーミンさんのほうが早いです。私がヤマハポピュラーソングコンテストに出たとき、もう審査員されてましたから。三つしか違わないのに。