困窮する介護現場に必要なのは何か。

 5月27日、政府は新型コロナに対する今年度の第2次補正予算案を閣議決定した。そのなかには、事業者への融資や介護職員に対する慰労金の支給も盛り込まれた。

 居宅系介護サービス(デイサービスなどの通所系と、訪問介護の訪問系がある)に詳しい東洋大学ライフデザイン学部の高野龍昭准教授は、

「これについては評価できますが、新型コロナの影響は長期化が見込まれます。一時的な支援に終わるなら不十分です。介護事業所への抜本的な経営支援策は盛り込まれてはおらず、このままでは地域の高齢者を支える通所系、訪問系の事業所は消えていきます」

 と危惧する。

 現在、国内の感染は、東京都や北九州市でややぶり返しているものの、小康状態ともいえる。

「この間に、支援に加え、“withコロナ”のなかで、どんな介護ができるのかを考える必要があります。例えば、介護職員向けの研修会などを開いて、新型コロナに対する正しい知識を身につける場を提供するなど、第2波、3波が来る前に何かしなければいけません」

 と話すのは結城教授。その上で、現在、通所系や在宅での介護サービスを受けている利用者やその家族にこう訴える。

「利用者の心身の機能低下を防ぐためにも、サービスの利用は控えないで。新型コロナの影響で、今は多くの事業所が新規の利用者を入れてくれません。このタイミングで関係を断ってしまうと、ご家族の健康状態が深刻になったときに、介護を受けることができなくなってしまいます」

(本誌・山内リカ)

週刊朝日  2020年6月19日号より抜粋