Q3:ウイルスの毒性が強まる?

 中村医師がこう語る。

「新型コロナは遺伝子変異をくり返し、いまではウイルスの種類は万単位の情報になっています。100年前のスペイン風邪は第2波で病原性が強まり、世界中で多くの死者を出した。第1波が広がった中で多くの変異を遂げたからです。新型コロナも毒性や感染力が強まる恐れは十分あります」

 立ち遅れたPCR検査体制やウイルスの遺伝子解析の整備が急務だ。

Q4:ワクチンはいつ完成する?

 英オックスフォード大がコロナワクチンの後期臨床試験を開始したが、喜ぶのは早い。水野医師がこう説明する。

「製剤は比較的早くできると思いますが、私たちのところに届くまでに時間がかかると思われます。ワクチンを接種することによる有害事象が出る可能性もあります。まずは臨床試験で安全性を確認した上、次のステップできちんと免疫ができるか有効性が検証されます。さらに多くの人を対象に大規模な治験が行われる。そこで有効性のエビデンスが得られれば、ようやく量産体制に入ります。ワクチンが発売されても優先順位がある。まずは医療従事者や高齢者などハイリスクの人が優先になると思われます」

 健康な一般の人々に回ってくるまで、2~3年はかかりそうだ。

Q5:ワクチンの開発は難しい?

 新型コロナはインフルエンザと同様に、遺伝情報をDNA(デオキシリボ核酸)ではなく、RNA(リボ核酸)の形で持つRNAウイルスだ。中村医師が語る。

「RNAウイルスは変異しやすく、一般的にワクチンができにくい。インフルエンザもシーズンごとにタイプが違うので抗体が有効ではなくなり、毎年、新しいワクチンを打つ必要がある。やはりRNAウイルスのエイズ、同じコロナウイルスによるSARS、MERSにもまだワクチンがありません」

Q6:アビガンはなぜなかなか承認されない?

 さまざまな既存の薬物が新型コロナの治療に使われているが、期待が高まっていたのが新型インフルエンザ治療薬のアビガンだ。

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