PCR検査で検体を調べる臨床検査技師 (c)朝日新聞社
PCR検査で検体を調べる臨床検査技師 (c)朝日新聞社

 緊急事態宣言が解除されてひと息つけたところだが、油断せずに新型コロナウイルスの感染拡大の第2波に備えておきたい。噂やデマに惑わされないためにも、検査や治療薬、ワクチンなどの疑問を解消しておこう。

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Q1:感染拡大の第2波はいつ来る?

 しばらく新規感染者ゼロが続いていた北九州市で5月23日から29日までの7日間で累計69人の感染者が確認された。うち27人の感染経路はわかっていない。第2波の兆しなのか。医療ガバナンス研究所理事長の上昌広医師はこう予測する。

「局所で抑え込めればいいが、周辺に広がれば第2波となる可能性がある。中国の武漢や韓国でも小規模な集団感染が起きている。ただ、世界規模で見ると北半球で感染が収束しつつある中、これから冬場となる南半球の南米、アフリカで感染者が急増している。日本も冬場の感染拡大のリスクのほうが高いと考えられる」

 グローバルヘルスケアクリニック院長の水野泰孝医師もこう語る。

「第2波はいつ来ても不思議ではないが、感染者が増えたところで再び外出などの自粛要請、これまで通りのマスクの着用や手洗いを徹底すれば市中感染を最小限に抑えることは可能と見ています」

Q2:欧米より日本の致死率が低い理由は?

 日本の致死率が約5.3%、中国が約5.6%なのに対し、フランスは約15%、英国とイタリアが約14%と、アジア諸国の致死率が低い。その理由について、ゲノム医療の第一人者でシカゴ大名誉教授の中村祐輔医師はこう指摘する。

「アジアと欧州ではウイルスの遺伝子配列がかなり違う。因果関係はわかっていませんが、ウイルスの毒性が関係している可能性もある。他にも、アジアで過去にコロナウイルスの感染が広がったことで、今回の新型コロナにもある程度、免疫反応を起こしているのではないかという見方もある。人種によって白血球の型が違うので免疫反応が異なる可能性もある。さまざまな理由が考えられます」

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