総務省の「情報通信白書」(令和元年版)によると、日本人のインターネット利用率は2018年で約80%。使う端末は、スマホが6割を占める。

 違和感があれば早めに受診するべきだが、そうもいかない状況だ。このため、セルフチェックの方法を石神院長が教えてくれた。

 (1)まずは親指を内側に折り、(2)反対の手で親指をつかみ、下に引っ張る。そのときに痛みが増すようならば、ドケルバン病の可能性が高い。

 片手でもできる。

 (1)親指を上側にして、腕を伸ばす。親指を内側に入れて、こぶしでグーをつくる(2)その形を保ったまま、こぶしを小指側に倒す。

「痛みを覚えたら、早めに整形外科を受診してください。大事なのは、親指や手首をできる限り動かさず休ませることです。軽症であれば、湿布や消炎鎮痛剤による投薬治療で済みます」(石神院長)

 悪化すれば、日常生活に支障をきたすほどの痛みや腫れに悩まされる。こうなると、ステロイド注射や手術で腱の手術が必要だ。

 予防はできるのか。

「まずは、手首を返す動作を避けることです。料理中に、お鍋のフタを裏返す動作や、読書する際に本をめくる動作もそうです。片手でスマホをとって画面操作をするのもよくない。スマホは両手で操作しましょう。日常生活で無意識に、手首に負荷をかける動作は意外に多いのです」(石神院長)

 自分でマッサージすることも有効だ。

 親指のつけ根を反対の手のひらで30秒、1日3回ほどマッサージすると、負荷がやわらぐ。

 いしがみ整形外科クリニックでは、非常事態宣言直後の4月こそ患者が3割ほど減ったが、4月末から5月にかけては逆に、重症患者が増えた。ドケルバン病以外にも、肩や背中、腰への強い痛みを訴えているという。

「ステイホームで自宅にいると、みなさんソファに座る時間が長い。すると、背骨や腰を痛めるんです。さらに、外出は自粛しなければ、とギリギリまで我慢するため、患部を重症化させてクリニックに駆け込む患者さんが多い。それが深刻な問題です」(石神院長)

 家族同士でマッサージをし合うのもいい。YouTubeには、整骨院などによる自宅でできる体操がたくさんアップされている。家族や友人と、お出かけする日を楽しみに、ぜひ身体のメンテナンスに気を配ってみよう。
(本誌・永井貴子)

※週刊朝日オンライン限定記事