渡辺恒雄さん/現読売新聞グループ本社 代表取締役主筆 (撮影・馬場麿貴)
渡辺恒雄さん/現読売新聞グループ本社 代表取締役主筆 (撮影・馬場麿貴)
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林真理子さん
林真理子さん

 今年連載25周年を迎える「マリコのゲストコレクション」では、作家・林真理子さんが数多くのゲストをお迎えしました。その中から、「勇気が出る言葉」を選りすぐり、振り返ります。今回は1998年12月18日号から、現読売新聞グループ本社代表取締役主筆の渡辺恒雄さんです。

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 読売新聞グループトップに君臨し続ける、“ナベツネ”こと渡辺恒雄さん。対談にご登場いただいたのは、社長に就任して7年後の72歳のとき。社長として、巨人軍オーナーとして、常に発言が注目される「渦中の人物」。取材を申し込んでから対談までの間にも、中央公論社を傘下におさめ、サッカーチームを手放すことが決まり……と、渦中の連続で──。


林:もし中央公論社に就職なさってたら、「中央公論」の編集長をなさったあと、いまごろは評論家になられていたかもしれないですよね。

渡辺:いや、ダメでしょう。ああいう小さい所帯じゃ、すぐケンカしておっぽり出されてますよ。読売だって何度もそういう危険があったんですから。政治部時代はワシントン支局に三年半も飛ばされたし。読売は大きいからそういう場所があるけど、中公じゃ島流しになるところがない。

林:新聞社って、記者として優秀でも出世するとは限りませんよね。社長のように、やりたい放題……あ、失礼しました(笑)、それでトップまで行くというのはどういう……。上の人に可愛がられるんですか。

渡辺:そういう面はありますよ。僕は務台光雄(読売元名誉会長)という三十歳年上の先輩に非常に可愛がられたのは事実。務台さん自身、十回ぐらい島流しの経験がある。そういう者同士は気が合うでしょう。僕が入ったときの当時の副社長・編集主幹、これもよくケンカした人で、昔、彼が経済部長のときに社会部長とケンカしたのかな。噛みつかれて、その跡が脚にあったというんだ。読売新聞の記者で、有能だけど出世しない人って、僕は考えられないな。たとえ、あんまりガラがよくなくても。

(中略)

林:日本の男の人って巨人軍が大好きですから、そこのオーナーっていうのは、彼らの見果てぬ夢なんでしょうね。

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