情報公開請求で開示された黒塗り文書を見せて、会見する赤木俊夫さんの妻の弁護士(撮影・今西憲之)
情報公開請求で開示された黒塗り文書を見せて、会見する赤木俊夫さんの妻の弁護士(撮影・今西憲之)
弁護士が公開した赤木さんが残したメモ
弁護士が公開した赤木さんが残したメモ
近畿財務局の赤木俊夫さん手記全文〈1〉
近畿財務局の赤木俊夫さん手記全文〈1〉
近畿財務局の赤木俊夫さん手記全文〈2〉
近畿財務局の赤木俊夫さん手記全文〈2〉
近畿財務局の赤木俊夫さん手記全文〈3〉
近畿財務局の赤木俊夫さん手記全文〈3〉
近畿財務局の赤木俊夫さん手記全文〈4〉
近畿財務局の赤木俊夫さん手記全文〈4〉

 学校法人森友学園(大阪市)への国有地売却で、財務省が公文書を改ざんした問題で、同省近畿財務局の赤木俊夫さん(当時54)が自殺したのは、公文書改ざんに加担させられたからだなどとして、赤木さんの妻が18日、国と佐川宣寿・元同省理財局長に計約1億1200万円の損害賠償を求める訴えを大阪地裁に起こした。

【画像】近畿財務局の赤木俊夫さん手記全文公開

 妻の弁護士は記者会見の冒頭で妻のメッセージをこう読み上げた。

「夫のように苦しんでいる人を助けるためにも佐川さん、どうか改ざんの経緯を、本当のことを話してください」

 そして、赤木さんが死の直前まで書き綴っていた「手記」を公表した。手書きで書いていた2018年3月7日という日付が振られたものには<(改ざんの)指示のもとは、佐川(元)理財局長><財務省理財局国有財産審理室 杉田補佐が文書を書き換えて近畿(財務局)に差し替えるように指示がありました>

<本省幹部も近畿財務局の幹部も全ての事実を知っている>

 また、パソコンに保存されていた「手記」にはこう記されていた。

<修正作業の指示は複数回あり現場として私はこれに相当抵抗しました>

<パワハラで有名な佐川局長の指示には誰も背けないのです>

 赤木さんは国有地売買の交渉・契約の担当部署に所属。2017年2月、近畿財務局の上司に呼び出され、大阪府豊中市の国有地を約8億2千万円値引きして森友学園に売却した取引の経緯を記した公文書から、学園側を優遇した記載を削除するなどの改ざんを指示された。赤木さんは強く抵抗したがやむを得ず従い、その後も改ざんを強要された。

 赤木さんは業務のストレスなどから、同年7月にうつ病と診断されて休職。同11月に検察から任意の取り調べを打診された後は「検察か警察が僕を狙っている」などと妻らに話すようになり、自殺願望を口にするようになった。その後、妻に「最終的に自分のせいにされる」などと話し、怯えていたという。

 赤木さんは18年3月に財務省の公文書改ざんが発覚した5日後に自殺した。

 近畿財務局は19年2月、自殺は公務が原因だったとして公務災害に認定する通知書を出している。

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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