あれから6年半。安倍総理は、再び、大ウソをつこうとしているのではないか。

 聖火リレーが始まる3月26日、安倍総理は福島を含めた東日本大震災の被災地の復興について発言するだろう。その時果たして、安倍総理は、何と言うのか。

「福島(被災地)が見事に復興した姿を世界中の皆さんに見ていただけることは、私の最も大きな喜びであります」とでも言うつもりかもしれない。

 さすがに、それには気が引けるだろうから、「完全な復興まであと一息のところにたどり着きました」と言うかもしれない。

「嘘つき東電」の廃炉計画でさえ、廃炉まであと30年。実際にはどれだけかかるかわからない。復興が「あと一息」と言っても、大ウソに変わりはない。

 安倍総理にとって幸運なことに、新型コロナウイルス騒ぎのせいで、福島事故関連の報道は例年よりかなり減っている。仮に安倍総理が再び大ウソをついても、おそらくメディアではほとんど批判されずに終わるだろう。

 世界を騙す大ウソをついた総理の責任を問わない私たち日本人。

 再び世界への大ウソを許すとしたら、これは安倍総理の罪では済まない。こんな総理をあれから6年半も野放しにした私たち日本国民の罪が問われるのではないだろうか。

週刊朝日  2020年3月27日号

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古賀茂明

古賀茂明

古賀茂明(こが・しげあき)/古賀茂明政策ラボ代表、「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。1955年、長崎県生まれ。東大法学部卒。元経済産業省の改革派官僚。産業再生機構執行役員、内閣審議官などを経て2011年退官。近著は『分断と凋落の日本』(日刊現代)など

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