ウイルスが体内に入ってきたとき、それを防御できる人とできない人がいます。それは免疫力が違うからです。その免疫の中心的な役割を担っている白血球の代表は、顆粒球とリンパ球とマクロファージです。

 ウイルスが侵入すると、まずマクロファージが出動して、ウイルスに感染した細胞を食べていきます。それが第1段階の免疫です。しかし、それだけで対応できなくなると、マクロファージはリンパ球に指令を出してウイルスを捕まえる抗体を作らせます。それが第2段階の免疫です。

 体がだるくて熱が出ている状態では、すでにリンパ球が活躍しています。発熱し体温を上げることでリンパ球の働きを活性化しているのです。

 この免疫の仕組みを頭に入れて、マクロファージがリンパ球に指令を出すあたりで、気配を感じることが大事です。リンパ球が活躍しはじめてからでは、もう遅いのです。

 免疫の第1段階で十分に身体を休めて、自分の身体のなかの戦いを支援しましょう。風邪ぐらいなら、この段階で葛根湯を飲むと効果があります。

 これまでの経験を駆使して自分の身体のわずかな変化に耳を傾ける。これこそがナイス・エイジングの方法です。

週刊朝日  2020年3月20日号

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帯津良一

帯津良一

帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など著書多数。本誌連載をまとめた「ボケないヒント」(祥伝社黄金文庫)が発売中

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