帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など多数の著書がある
帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など多数の著書がある
※写真はイメージです (撮影/多田敏男)
※写真はイメージです (撮影/多田敏男)

 西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱する帯津良一(おびつ・りょういち)氏。老化に身を任せながら、よりよく老いる「ナイス・エイジング」を説く。今回のテーマは「身体の変化に気づく」。

*  *  *

【ポイント】
(1)必要以上に不安がることはない
(2)自分の身体と付き合ってきた経験を生かす
(3)身体のわずかな変化に耳を傾けよう

 新型コロナウイルスの感染が日本中の心配事になっています。しかも、次々に80歳代の高齢者の死亡が発表されていますから、年配の方の不安は高まっていると思います。

 これは、ナイス・エイジングを進める上でも、放っておくことができない問題です。

 まず、最初に言いたいのは、必要以上に不安がることはないということです。感染予防のための対策はもちろん必要です。しかし、年配の方たちは、毎年、流行して多数の死者を出すインフルエンザをこれまでも乗り切って生きてきているのです。その知恵があれば、今回だって大丈夫です。

 感染予防にしても、むやみやたらに過剰にしても意味がありません。

 私自身のことを言えば、毎日、多くの患者さんに会いますが、マスクはしません。それよりも、どこにウイルスが飛ぶかをイメージして、ウイルスやそれを含んだ飛沫を避ける対応をしています。マスクをつけているからと、マスクを過信してしまう方が危険です。

 手洗いにしても、神経質に何度も洗うよりも、手のどの部分にウイルスが付くかを意識するようにした方がいいのです。自分の手の汚れた部分と汚れていない部分をしっかり区別して、汚れた部分で口や鼻を触らないようにします。

 私は20年以上、風邪をひいたことがありません。インフルエンザにかかったこともないのです。その秘訣は自分の身体の変化に気づくということです。

 年配だからこそ、若い人よりも有利な部分があります。それは、自分の身体と付き合ってきた経験が長いということです。その利点を生かして、自分の身体のわずかな変化にも耳を傾けましょう。

著者プロフィールを見る
帯津良一

帯津良一

帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など著書多数。本誌連載をまとめた「ボケないヒント」(祥伝社黄金文庫)が発売中

帯津良一の記事一覧はこちら
次のページ