現役時代は「つなぎの4番」として活躍した元ロッテのサブロー(C)朝日新聞社
現役時代は「つなぎの4番」として活躍した元ロッテのサブロー(C)朝日新聞社
2016年9月に引退会見をした元ロッテのサブロー(C)朝日新聞社
2016年9月に引退会見をした元ロッテのサブロー(C)朝日新聞社

 ロッテで「サブロー」の登録名で親しまれた大村三郎氏が、楽天のファームディレクターに就任したことが1月8日に発表された。「また楽天とロッテか」と驚いた人も多いだろう。

【写真】引退会見をした時のサブロー

 今オフ、楽天はロッテから鈴木大地、涌井秀章ら計3人をフリーエージェント(FA)、金銭トレードなどで獲得。ロッテも楽天から美馬学、ハーマンら4人が加入した。両球団の間で7人の選手が大量交換された形だが、これで終わらなかった。

「ロッテの顔」として現役時代に活躍した大村氏が楽天の要職に電撃就任。

「チームにとって、ファーム、育成は非常に大事ですし、下からの突き上げがこれまで以上に多くなれば、チームはより強くなります。千葉ロッテ、巨人で経験したこと、アメリカで勉強したことをフルに活用し、楽天イーグルスのために、東北のファンの皆さんのために強いチームを作っていけるよう頑張ります」

 と意気込みをコメントした。

 石井一久GMが2018年9月に就任して以来、楽天は補強戦略が注目されてきた。同年のオフは西武からFA宣言した浅村栄斗の獲得に成功。ヤクルトを退団した由規と育成契約を結び、福井優也を広島からトレードで獲得した。ブラッシュは打率2割6分1厘、33本塁打、95打点と主軸で活躍し、ブセニッツも4勝3敗28ホールド、防御率1.94と救援の柱として稼働した。今オフも補強の手を緩めない。鈴木、涌井らに加えて、元パドレス・牧田和久、守護神候補の元ドジャース・シャギワといった大リーグ経験者を獲得してブルペン陣を強化した。

 ただ、補強だけではチームは強くならない。楽天の懸念は、生え抜きの若手選手の伸び悩みだ。将来のエースと嘱望される安楽智大、藤平尚真、和製大砲の内田靖人、岩見雅紀、身体能力抜群のオコエ瑠偉ら有望株が思うような結果を出せていない。中長期的なチーム作りで育成に主眼を置かなければいけない。1軍と2軍のパイプ役を担うファームディレクターのポストを新たに設け、昨年まで監督を務めていた平石洋介氏(現ソフトバンク打撃兼野手総合コーチ)に打診したが固辞された。そこで白羽の矢を立てたのが、コミュニケーション能力が高く、「野球IQ」が高いと評判の大村氏だった。

 スポーツ紙のロッテ担当記者は、こう分析する。

「鈴木、涌井と同様に、ロッテの象徴的な存在だったサブローさんが同一リーグの楽天に行ったことに驚いたファンも多いです。もちろん絶対に負けられません。楽天戦は新たな因縁のカードになる雰囲気がありますね」

 今オフの主役になった両球団。杜の都と幕張で繰り広げる熱戦から目が離せない。(梅宮昌宗)

※週刊朝日オンライン限定記事