「紅白限界突破スペシャルメドレー」を披露する氷川きよし (C)朝日新聞社
「紅白限界突破スペシャルメドレー」を披露する氷川きよし (C)朝日新聞社

 2019年を締めくくった「第70回NHK紅白歌合戦」で熱視線を集めたのは、事前のリハーサル会見で“きーちゃん”変身宣言をしていた氷川きよしだ。「ドラゴンボール超」の主題歌「限界突破×サバイバー」でロック調の楽曲にも挑戦、その際にはビジュアル系ロック歌手のような衣装やメイクをほどこし、従来の「演歌」というカテゴリーを越えた活動でも注目を集めている。

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 本番で披露された「紅白限界突破スペシャルメドレー」の歌唱は、はじめは男っぽい姿の「白」バージョンと、つややかな魅力にあふれる「紅」バージョン、左右のスクリーンに2種類の氷川きよしが映し出されるセットの前に登場。ヒット曲「大丈夫」のサビを歌ったあと、セットに巨大な龍が出現、龍の頭の上に立った氷川が「限界突破×サバイバー」をシャウトする、というものだった。芸能評論家の三杉武さんは、

「もともとロックやポップスも好きだったこともあり、演歌ファン以外も多くの人が見る番組で印象づけられたのはよかった、と思います」

 と言う。いっぽう芸能リポーターの石川敏男さんは、氷川きよしの“変身”について「今までのファンはまだ戸惑っているんじゃないでしょうか」と語る。

「リハーサルの時の会見で『ありのままの姿で』と語っていましたし、本当の自分はこうなんだ、と見せたいというのはよく分かります。でも、この路線で年配のファンが離れてしまうようだったら、ファン思いの彼ですから、従来の正統派の演歌系の路線に戻すかもしれません」

 それにしても第70回「紅白」は盛りだくさんだった。「AI美空ひばり」による“新曲”披露や、ビートたけし、竹内まりやら大物の出演。大トリをつとめた嵐、ジャニー喜多川さんへの追悼企画、米津玄師が手掛けてレコード大賞も受賞したFoorinの「パプリカ」など、注目を集めるパフォーマンスはいくつもあった。

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結果的にどっちつかずになってしまったのか