スイスのIMD(国際経営開発研究所)が公表したデジタル競争力ランキングで、日本は2位シンガポール、8位香港、10位韓国の後塵を拝し23位。この劣勢を挽回するには高レベルのIT人材がカギなのに、その育成が前述の状況なのだから、頭を抱えてしまう。

 さらに、もう一つの心配は、冒頭のPISA読解力テストの問題の約3割を占めた記述式問題の日本の正答率が大きく下がったことだ。これも全体の成績を大きく下げた。

「記述式」といえば、大学入学共通テストにおける国語と数学の記述式問題の導入延期が発表されたばかり。OECD調査で記述式が日本の弱点であることがあらためて明確になったが、皮肉なことに、その対策は頓挫し、先も見えない。

 安倍総理は、日の丸・君が代の強制、愛国心養成のための教育基本法改正、道徳の教科化など、「右翼層への受け狙い」とモリカケなどの「えこひいき」で日本の教育を歪めてきた。

 日本の未来を決めるのは教育行政と言っても過言ではない。その立て直しを図るには、その根本を腐らせた安倍総理の退陣しかないのではないか。どうしてもそう思ってしまう。

週刊朝日  2020年1月3‐10日合併号

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古賀茂明

古賀茂明

古賀茂明(こが・しげあき)/古賀茂明政策ラボ代表、「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。1955年、長崎県生まれ。東大法学部卒。元経済産業省の改革派官僚。産業再生機構執行役員、内閣審議官などを経て2011年退官。近著は『分断と凋落の日本』(日刊現代)など

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