「特定技能外国人」が日本に来ないワケ (2/4) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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「特定技能外国人」が日本に来ないワケ

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澤田晃宏週刊朝日
送り出し機関の教育施設で研修するベトナム人技能実習生(ハノイの教育機関で)

送り出し機関の教育施設で研修するベトナム人技能実習生(ハノイの教育機関で)

面接の練習を受けるベトナム人技能実習生(ハノイの教育機関で)

面接の練習を受けるベトナム人技能実習生(ハノイの教育機関で)

介護留学のため日本語を勉強するフィリピン人(セブ島の語学学校で)

介護留学のため日本語を勉強するフィリピン人(セブ島の語学学校で)

ハノイ市内

ハノイ市内

新在留資格「特定技能」開始から半年。交付者数は初年度想定の3%未満 (週刊朝日2019年11月29日号より)

新在留資格「特定技能」開始から半年。交付者数は初年度想定の3%未満 (週刊朝日2019年11月29日号より)

 最大の誤算は、技能実習生最大の送り出し国であるベトナムの態勢が整わないことだろう。今や技能実習生全体の半数を超える約16万人はベトナム人。特定技能でもその人材供給国としての期待が大きい。なぜ受け入れが進まないのか。ベトナム政府に近い送り出し機関幹部が舞台裏を話す。

「日本政府は送り出し機関を通さない形での受け入れを目指しましたが、それではベトナム政府の利益はない。日本に限らず、ヨーロッパ諸国からも人材を求められるなか、送り出し国として譲歩はできません」

 技能実習制度では、人材の送り出しにベトナム政府機関の推薦状が必要になる。送り出し機関は、納税はもちろん、ときにはわいろなどを払って蜜月関係を保っている。人材の送り出しは「国のビジネス」であり、日本企業が直接「国の商品」である労働者を雇用するなど、認められるものではない。ベトナムでは10月、特定技能における手続きの一部が公表されたが、技能実習生同様、送り出し機関を通して派遣する形になる。

 送り出し機関は現状、技能実習生から送り出しにかかる費用として平均7千~8千ドル(約75万~90万円)を徴収しているのが実態だ。その構造は特定技能でも変わらない。特定技能における徴収額のルールはいまだ公表されていないが、先の幹部によれば、日本の受け入れ企業から入国前教育費を含め2800ドル(約30万円)、そして、特定技能労働者から給料の最大2カ月分以下を徴収できるとするガイドラインがまもなく公表されるという。仮に特定技能外国人の給与を月収25万円とすると、2カ月分で50万円。日本の受け入れ企業から徴収できる2800ドルを加えれば、技能実習生と同等の収益を確保できる。

 ただ、この幹部は、特定技能での送り出しが可能となっても「希望者は少ない」と見ている。

 その理由は、「ベトナムの若者にとって重要なのは、すぐに稼げるかどうか。特定技能は試験があり、日本語はN4レベルが求められる。一から勉強すれば、最低半年はかかる。無試験で日本に行ける技能実習という道がある以上、わざわざ、難しい道を選ぶ人はいない」

 いち早く政府間で特定技能の協力覚書を締結したフィリピンでも、混乱が起きている。介護業界は4月から毎月フィリピンで試験を実施。すでに100人以上の合格者が出ているが、フィリピン国内のガイドラインが示されないために手続きができず、足止めを食らっている。そのため、

「介護事業者が合格者に入社祝い金などを払い、奪い合う動きがある一方、手続きが進まないからと日本を諦め、中東など他国へ働きに出る人も現れています」(フィリピンの送り出し機関の日本担当者)


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