今国会で説明する気はないのであろう安倍首相 (c)朝日新聞社
今国会で説明する気はないのであろう安倍首相 (c)朝日新聞社

“安倍1強”の傍若無人もここに極まれりだ。安倍晋三首相主催の「桜を見る会」で、安倍首相が地元の後援者を多数招いていた問題が拡大の一途をたどっている。多額の税金が投入される公的行事を地元後援者の接待に使ったとして、公職選挙法などに抵触する疑いまで指摘される。

【写真】本人直撃!「桜を見る会」に招待されたNo.1キャバクラ嬢

 政府は招待基準などを見直すことを理由に来年度の「桜を見る会」の開催中止を決め、早期の幕引きを図ろうとしている。だが、内閣官房関係者は緊迫感を漂わせながらこう語る。

「これまでの問題とは明らかに次元が違います。森友・加計は官僚の忖度(そんたく)の問題でもあったが、今回は安倍事務所が直接絡んでいる。官邸や党内は相当の危機感を募らせ、ヤバイという声が出ています。今回の件で安倍さんが報道陣のぶら下がり取材に応じるとは思いませんでした」

 11月15日は普段とは違う異例のぶら下がり取材となった。政治部記者はこう言う。

「いつもは問いかけに一言二言だけ答えて通り過ぎるのですが、今回は20分以上いました。やたらと『次の質問どうぞ』と言っていたのが面白かったですね。かなり焦っているのは間違いありません」

 桜を見る会は1952年に始まり、毎年4月ごろに東京・新宿御苑で開かれる。皇族や各国の駐日大使、国会議員や中央省庁幹部らが参加するほか、各省庁が推薦する形で各界の功労者たちが招待されてきた。今回、国会議員の推薦枠があることが明らかになったが、安倍首相はこの枠を利用し、会を「後援会活動」に使ったのである。

 参加者や支出額は、安倍政権下で年々増え続けてきた。招待者数の目安は1万人とされているにもかかわらず、2014年度の約1万3700人から、今年度には約1万8200人にまで増加。この間、予算は1767万円で固定されていたが、実際の支出額は毎年のように大幅にオーバー。14年度は約3千万円だったのが、今年度には約5500万円まで膨れ上がった。

 会に参加した山口県周南市の藤井律子市長がつづったブログが国会でも取り上げられ、失笑を買った。

著者プロフィールを見る
今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

今西憲之の記事一覧はこちら
著者プロフィールを見る
上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

上田耕司の記事一覧はこちら
著者プロフィールを見る
吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

吉崎洋夫の記事一覧はこちら
次のページ