と答える一方で、「料金についてはご要望を伺ってご提案することもあります」とも付け加えた。

 前夜祭は2013年から開催されてきた。不可解なのは安倍首相が代表の政党支部や、後援会など政治団体の政治資金収支報告書に、前夜祭の収支に関する記載がないことだ。

「政治とカネ」の問題に詳しい神戸学院大学の上脇博之教授は、告発も辞さない構えだ。

料理だけでなく会場費も相当高いはずで、一人5千円の会費でペイできるはずがありません。支出のほうが2、3倍くらい多くなると考えられます。そうなると差額分が寄付行為となり、公選法違反になります」

 14年には、支持者を招待した観劇ツアーをめぐり収支の虚偽記載が明らかとなり、小渕優子元経産相が辞任に追い込まれた。

「収支報告書に書けなかったのです。では今回、赤字を補てんしたのはだれなのか。安倍さん本人か政治団体のどちらかだろうと思います。そうすると、裏金を持っていることにもなってしまいます」(上脇氏)

 安倍首相は15日夜、前夜祭の費用について、報道陣に次のように説明した。

「価格設定が安すぎるのではないかという指摘があるが、5千円という会費は、大多数がホテルの宿泊者だという事情を踏まえ、ホテル側が設定した価格だ」

 だが、前出・田村議員はこう反論する。

「ホテル主催のディナーショーならば、参加者はホテルに支払うでしょう。そうではない。会場の案内板には『安倍晋三後援会 桜を見る会前夜祭』と書かれています。どういう料理にするのかなど、だれがホテル側と相談したのか。今年は歌手の方を呼んでいますし、その手配や支払いはどうしたのか。すべてがクエスチョンマークです」

 今国会は菅原一秀前経産相と、河井克行前法相の妻である参院議員に公選法違反疑惑が浮上し、2閣僚が事実上の更迭となった。また、萩生田光一文部科学相は英語の民間試験をめぐって「身の丈に合わせてがんばって」などと教育格差を助長するかのような発言をするなど、安倍内閣の失態が相次いだ。政治ジャーナリストの角谷浩一氏が厳しい口調で語る。

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