「即位礼正殿の儀」で天皇が立つ「高御座」(手前)と皇后が立つ「御帳台」(奥) (c)朝日新聞社
「即位礼正殿の儀」で天皇が立つ「高御座」(手前)と皇后が立つ「御帳台」(奥) (c)朝日新聞社

「どうやら、御帳台を開けたら中身はカラ、という事態は回避できそうです」

 そう胸をなでおろすのは、宮内庁職員だ。

 皇位継承儀式のクライマックスが、10月22日午後1時から執り行われる「即位礼正殿の儀」である。190以上の国や機関から招いた賓客を前に、世界に即位を宣明する、一世一代の儀式だ。

 この日に向けて、宮内庁は雅子さまの公務を調整し、体調を整えることに専念してきた。とはいえ当日まで気は抜けない。22日、皇后雅子さまは、朝から大忙しだからだ。

 まず、首相や三権の長、国務大臣らが参列するなか、賢所に天皇が即位礼を行うことを奉告する「即位礼当日賢所大前の儀」と、皇霊殿、神殿に奉告する「即位礼当日皇霊殿神殿に奉告の儀」が執り行われる。その後、お昼をはさみ、即位礼の儀式に臨む。

 午前中の祭祀から即位の礼まで天皇陛下は「黄櫨染御袍(こうろぜんのごほう)」、雅子さまは髪を大垂髪(おおすべらかし)に結い上げ、古式装束の「十二単(ひとえ)」を身につける。その重さは十数キロ。手には大きな「檜扇(ひおうぎ)」を持つ。儀式は「体力勝負」(皇室ジャーナリスト)の要素も強いのだ。

 幸いなのは、高御座と御帳台までの歩く距離が短くなったことだろう。今回は、儀式に臨む両陛下の姿を巨大モニターに映して賓客に見てもらう形式になったため、入りの際は、両陛下は宮殿の長い廊下を歩く必要がなくなった。

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