森永卓郎(もりなが・たくろう 右)1957年生まれ。獨協大学教授で経済アナリスト。日本専売公社や民間シンクタンクなどに勤め、テレビのコメンテーターとしても活躍。『ビンボーでも楽しい定年後』(中公新書ラクレ)など著書多数。/森永康平(もりなが・こうへい)/1985年生まれ。金融教育ベンチャーの「マネネ」の最高経営責任者(CEO)で経済アナリスト。証券会社や運用会社で調査業務に従事し、現在は複数のベンチャー企業の経営にも関わる。 (撮影/写真部・小山幸佑)
森永卓郎(もりなが・たくろう 右)1957年生まれ。獨協大学教授で経済アナリスト。日本専売公社や民間シンクタンクなどに勤め、テレビのコメンテーターとしても活躍。『ビンボーでも楽しい定年後』(中公新書ラクレ)など著書多数。/森永康平(もりなが・こうへい)/1985年生まれ。金融教育ベンチャーの「マネネ」の最高経営責任者(CEO)で経済アナリスト。証券会社や運用会社で調査業務に従事し、現在は複数のベンチャー企業の経営にも関わる。 (撮影/写真部・小山幸佑)
森永卓郎さん(左)と森永康平さん (撮影/写真部・小山幸佑)
森永卓郎さん(左)と森永康平さん (撮影/写真部・小山幸佑)

 経済アナリストの森永卓郎氏が、同じく経済アナリストとして活躍する長男・康平氏と、お金の考え方や年金崩壊時代に生き抜く術を語り合った。

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〈前編より続く〉

*  *  *

──お父さんは、「お金にお金を稼がせるやり方」は間違いだと指摘し、村上ファンドの村上世彰氏らを批判してきましたね。

卓郎:はい。村上氏もホリエモンも同じですが、彼らは一貫して「会社は株主のもの」と言い、株式の過半数を制すれば何をやってもいいと思っているように見えます。確かに法律上はそうかもしれませんが、会社は金もうけの道具ではないと私は思うのです。

 ホリエモンが主導した2005年のニッポン放送の買収騒動のときも、目的はニッポン放送を踏み台にしてフジテレビの経営権を奪うことにありました。村上氏はそれに乗っかってお金を稼いだのです。ラジオ局は株主だけでなく、リスナーや従業員、取引先や関連会社のためのものでもあります。株主は金を出しているだけで汗をかいて働いているわけではありません。そんな株主が「経営に口を出してエラそうなことを言うんじゃない」と思います。

康平:父は経営をやったことがないからわからないのです。株主にとっては会社の価値が上がることがベストなんです。リスナーが喜ぶことや従業員が心地よく働くことはすべて会社の価値向上につながります。

卓郎:投資ファンドの実態を知らない発言だ。彼らが狙うのは、資産はたっぷり持っているが、業績がいま一つで株価が高くない会社です。いったん買収すると、片っ端から資産を売り払ってしまいます。表面上は会社に利益が生まれますが、彼らは株を手放して売り逃げする。会社は何も残っていないスカスカです。まさにハゲタカ。彼らは事業なんて何も考えていませんよ。マネーゲームで金を稼いでいるだけです。

康平:そういうのがいやなら上場しなければいい。上場している限り、誰が株主になっても会社は拒否できません。それが会社を公開することの意味です。買い占められて会社をスカスカにされてしまうのは経営の責任でしょう。

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