とはいえ、消費税をゼロにした場合、財源はどうするのだろうか。

「消費税をやめると仮定した場合、年間20兆円くらいの財源が必要になります。その財源を何で埋めるかというと二つある。一つは国債の発行。もう一つは税でやる。法人税を累進性に変えていく。もうかっているときに税率は高まるが、そうでないときは税負担が低くなるというやり方です。さらに、所得税についても累進性を強化し、分離課税などをやめることで金持ちからより取れるようになれば、29兆円の財源ができるという試算が存在するんです。あくまでざっくりとした数字。でも、税の取り方を変えれば、消費税だってやめられる、ということです」

 法人税を厳しくすると、海外に企業が出ていくといった指摘が出てくることについては、こう反論する。

「経済産業省の14年の海外事業活動基本調査によれば、企業が海外進出を決定した理由として、『税制、融資等の優遇措置がある』と答えたのは、たった8.0%。1位の67.5%は、『現地の製品需要が旺盛』。海外に出るのは物が売れるから。この国はどうかと言えば、人口減で賃金も上がっていない。内需が弱っているから将来的な展望が持てない。なぜ企業側が内部留保をあれだけため込むのかと言ったら、投資に回してもリターンがないと思うからです」

 こうした内部留保に対して課税するべきだとの主張については反対という。

「合法的にためたものを『新たに金よこせ』というのはヤクザすぎる。はき出させる、というのなら、国の成長戦略をもとに、投資をしていただくのが王道です」

 もう一つの財源となる国債発行については、大胆に財政出動すべきだと指摘。

「国が、成長産業が何かを見極めて、投資すべきです。教育、保育、介護など国がケチり続けてきた分野は、伸びしろしかない。『国が本腰を入れるので、みなさんも参加しませんか』とやればいいんですよ」

 ただ、大規模な財政出動には、インフレを懸念する声が上がる。こうした主張に対しても、疑問を持っている。

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