医療関係者もかつては夢だったものが、今は確信を持って語れる時代になってきたんです。パーキンソン病なども治る可能性がとても高くなってきたといえるでしょう。治らなかったものが治る身体機能の再生医療と、病気を進行させないような新薬開発の両方の前進への期待があります。アルツハイマーとかの症状の進行を止めるための新薬が開発されると、健康寿命が延びますね。

──AI医療ロボットはどこまで性能が向上していくのでしょうか

 昔の医療ロボットは工場ロボットみたいにごつかったですが、今使われている手術支援ロボットなどは、データを取り込んで自分で学習して動くというレベルには達していません。しかし、これからはさらに進化したAIロボットが実現するのではないかと思います。

 AIの研究者によれば、ロボット単体で手術するのは突然の出血とか不測の事態には対応できないので、やはり医師がついていないといけないだろうと言っています。ロボットの手術技術も進歩しますが、かつては患者の見守りは人にしかできなかったのがAIにも分担させることで患者の情報を多くの関係者と共有し、省力化をすることにはなるだろうということです。

──BJが連載されていたころより平均寿命が延びています。まだまだ延びそうですか

 今回、終末医療の患者が出てきますが、苦痛緩和ケアしかないわけです。安楽死をさせるキリコというおなじみの安楽死専門の医師が出てきましたが、実際に海外の数カ国でしか安楽死は許されていません。

 私は今後、人があまり病気にならず100歳まで元気なままでいられる時代が来るだろうと思っています。予防医学も先端医療ももっと発達するでしょうし、寿命が終わるまでよりよく生きられるように医学が進歩すると思います。

 ただ、今の高齢者が100歳まで元気で生きられるような社会システムや医療はまだ確立されていません。

 今は人が100歳まで大きな病気をせずに元気でいられる時代の入り口だと思います。時間がかかるとは思いますが、きっとそんな時代が来ると思います。

──面白く読ませてもらいました。BJが読んだら「おまえさん、やるじゃないか!」と言いそうですよ

(聞き手・構成/土肥慎也)

週刊朝日  2019年9月6日号