診断からリハビリまでの「自動車運転外来」 高齢者を救えるか? (3/6) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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診断からリハビリまでの「自動車運転外来」 高齢者を救えるか?

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週刊朝日#シニア
ドライブシミュレーター (愛宕病院提供)

ドライブシミュレーター (愛宕病院提供)

白質病変が進む脳の様子 (朴医師提供)

白質病変が進む脳の様子 (朴医師提供)

高齢者運転八策  (週刊朝日2019年8月30日号より)

高齢者運転八策  (週刊朝日2019年8月30日号より)

高齢者運転者が関係する差最近の主な事故や動き  (週刊朝日2019年8月30日号より)

高齢者運転者が関係する差最近の主な事故や動き  (週刊朝日2019年8月30日号より)

 次に行うのがMRIによる脳の画像診断だ。脳に白い部分が見えると事故リスクが増えるという。担当医師の朴啓彰・高知検診クリニック脳ドックセンター長(63)が説明する。

「高齢者の脳画像には、脳が白く映る『白質病変』が見られるケースがあります。毛細血管が消失することで神経線維が死んでしまい、脳の組織がスカスカになった状態です。こうなると巨大コンピューターの配線がプチプチと切られていくのと同じで、脳が同時進行で多くの信号を処理できなくなる。普段の生活では何ともなくても、とっさのときに判断を間違え、アクセルやブレーキを踏み間違えてしまうのです」

 朴医師が脳ドック受診者1万761人を対象に調査したところ、60歳以上で白質病変がある人の事故率は1.28倍、交差点での事故に限ると2.05倍に跳ね上がることがわかった。また、1万1170人への調査では、年齢を問わず白質病変がある人の高速道路への誤進入も1.56倍高く、事故リスクを高めていることがわかる。

 脳のどこが衰えると、どんな危険運転に結びつくかもわかっている。

「位置や空間認知をつかさどる頭頂葉だとアクセルやブレーキの踏み間違いを起こし、視覚情報を処理する後頭葉では危険そのものが見えない状態になる。前頭葉は無謀運転、物事の様子を認識する側頭葉なら逆走などにつながると言われています」

 診察後には診断を出す。

「認知機能に問題がなければ免許センターで免許証の継続。逆に低すぎてどうしようもない場合は免許の自主返納となります。本人が納得しなくても医師が認知症と診断すれば、免許停止です。ですが中には診断がボーダーラインの場合もあり、そういう人たちに運転機能の向上を目指すリハビリをしています」(朴医師)

 理学療法士の沖田学氏(44)によると、リハビリは「患者さんの落ちている能力を回復するために、様々なパターンを組み合わせて行う」という。

「数字の書かれたマス目に乗りながら規則に従って足を動かす『ステップパターン』や、足踏みをしながら差し出された色に応じて左右どちらかの手を挙げるものもあります。その人に合わせてオーダーメイドで作るため、種類は無限大です。家でもリハビリはしてもらいます。例えば、散歩中にすれ違った車のナンバープレートの数字を足し合わせるトレーニングなどです」


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