少しずつ表舞台に出て公務の幅を広げる雅子さま。だが、急に増えた公務から病状への心配もされた。6月後半、雅子さまの表情に少し疲れが見られ、お出ましは、「ご体調次第」と発表されることもあった。

 そんな中、上皇ご夫妻から引き継いだ「こどもの日」にちなむ施設訪問で訪れた麻布保育園(東京都港区)でも、雅子さまは訪問先を気遣う姿を見せていた。

「両陛下は、園児とお買い物ごっこをされ、終始笑顔でとても楽しそうに過ごされていた。園長は、雅子さまにいろいろと説明をしているなかで、むかし同園にあった庭園の話をされたところ、御料車に乗って帰られる際、雅子さまがわざわざ窓を開けて庭園があった場所を指さし、『ここですか』というように確認されていったそうです」

 何げない会話のひとつひとつを拾いあげる雅子さまの姿に、園長は感銘を受けていたという。適応障害と診断され、公務がままならない状態にあった雅子さまに、かつては、「税金泥棒」などという心ないヤジが飛んだこともあった。

「公務の場や沿道でもそういった批判はひそひそと聞こえてきました。それが今では、一目見て興奮して泣く人や、可愛らしい愛子さまを見に来たという声が聞こえるようになり、国民も雅子さまのお姿に励まされる、という相互関係ができています。ずいぶんと状況が変わったなと思います」

 宮内庁は9日、美智子さまの左胸に乳がんが見つかり、9月以降、手術する予定と発表した。重責は増すばかりだが、今の雅子さまであれば、乗り越えられるのではないだろうか。(本誌・岩下明日香)

週刊朝日  2019年8月30日号