古賀茂明「実は先進国入りしていなかった日本」

政官財の罪と罰

古賀茂明

2019/08/06 07:00

 最低賃金の議論も同じだ。あまり上げすぎると、中小企業が困ると言って経済団体のトップが恥ずかしげもなく堂々と反対する。労働者がフルタイムで働いてもまともな生活ができないと言っても、これまでは、「経営者が困るから」で議論が終わっていたのだ。

 実は、この企業優先の途上国体質は30年前に転換すべきだったのだが、それを怠ったことで、今頃、人手不足により、そのツケを数年で払えということになった。だから、中小企業などの低生産性企業の生き残りは難しい。この責任は、ひたすら低賃金労働で生き延びることしか考えられなかった無能な経営者たちと、それと癒着し「人を大切にする」政策に転換できなかった自民党政権の責任だ。

 安倍総理は、「働き方改革!」と胸を張る前に、自民党の大罪を謝罪し、ダメな大企業経営者に退場を促す役割を担ったらどうか。

 本当の意味で先進国になれなかった日本だが、気がついてみたら、1人当たりGDPランキングでも、ついに世界で26位、アジアでも7位に転落した。

 冒頭で、「日本は一度も先進国になれないまま没落していく」と言ったのは、そういう意味なのだが、理解してもらえただろうか。

週刊朝日  2019年8月16-23日合併号

古賀茂明

古賀茂明

古賀茂明(こが・しげあき)/古賀茂明政策ラボ代表、「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。1955年、長崎県生まれ。東大法学部卒。元経済産業省の改革派官僚。産業再生機構執行役員、内閣審議官などを経て2011年退官。近著は『官邸の暴走』(角川新書)など

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